パニック障害奮闘記第四話 それでも自力で治そうと無駄な努力を続ける私・・その結果は !

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「パニック障害奮闘記」第三話 はたして自力で治るのか?私が取ってしまった行動は・・よいこは真似しないでね。

 

 

誰にも相談できず孤軍奮闘!しかし・・

 

自分の病気が「パニック障害」だとわかったあとでも、元来の医者嫌いである私はなんとか病院に行かずに自力で治したいと思っていました。

電車に乗れさえすれば何とかなるだろうと考え、空いている電車を狙って「隣の駅まで行く練習」をしようと休みの日を利用してトライしてみました。

しかし何度やっても電車に乗ることさえできません。

いや正確に言うと「乗る」ことはできても扉が閉まる前に「恐怖」に駆られて慌てて外へ出る、という行為を何度も何度も繰り返してしまうのです。

 

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頑張ってそのまま乗り続けようと思っても、「このまま閉じ込められたら自分がどうなってしまうかわからない」という「予期不安」により、どうしても我慢ができないのです。そうなるともう電車に乗るどころの騒ぎではありません。

何しろ「各駅電車に乗る」ことさえできないんですから。その時の私の無力感、絶望感、自己嫌悪はハンパありませんでした。

あまりの情けなさに、誰もいないホームの待合室の中で、わんわんと大声をあげて泣いてしまったのです。

 

そして結局「隣の駅へ行く」ことを諦め、入ってきた改札を駅員さんに頼んでそのまま出してもらいました。

いや頼んでと言っても、説明するのが面倒くさいのとやはりまだ「恥ずかしさ」があって「パニック障害」だとは言えず、ただ単に「忘れ物をした」という理由で出してもらいました。

 

それから後はあまりの敗北感に再挑戦する気力もなく、さらにはしばらく電車に乗って出かける仕事も用事もなかったのでなんとなく「電車に乗る」という行為自体を「避けている」自分がいました。

しかもその時はもう電車に乗らずとも不安な気持ちになると「発作」的な感じになるようになっていたので電車に乗るなんて『夢のまた夢』の状態になっていました。

 

 

だんだん財政難になり・・やはり本格的なリハビリを再開することに‥

 

 

それでも何とかしばらくは在宅仕事や近場の仕事でやり過ごせていたのですが、ある一つのクライアントさんからの仕事が契約満了になって終了したのをきっかけにだんだん私の懐具合も寂しくなっていきました。

そろそろ別に仕事を増やさないとヤバい状態になっていきます。しかしそううまい具合に近場の仕事や在宅仕事が見つかりません。

私は車もバイクも持ってませんので、そうなるともう嫌でも範囲を広げて「電車に乗って足を運ぶ仕事」を見つけなければならないのです。

もう是が非でも病気を治してどこへでも行けるような状態にしなければならなくなりました。

 

 

しかし、この時になってもまだ私は病院に行く勇気がありませんでした。なので何とかせめて各駅電車に乗って隣の駅に行けるようになることを目標に、いろんな方法を試しました。

 

 

 

私が行ったリハビリ方法

とにかく、電車に乗ってる間恐怖感を感じないように「気を紛らわすこと」あるいは「リラックス」した状態になることが大事だと思い、

 

 

お気に入りの漫画や本を持って、読みながら乗る

口にマスクをした状態で乗り、乗っている最中小声で歌を歌う。

とにかく車内を歩き回る。

市販されている漢方薬を飲んで乗る。

 

 

などのやり方を試しました。

しかしどの方法も、とにかく電車に「乗って」みなければ始まりません。私は何しろ最初のリハビリで大失敗し、どうしてもドアが閉まる前に出てしまう癖がついてしまっています。

それがまだしばらくは続いてしまってなかなか「リハビリ」するスタートラインに立つこともできなかったのです。

 

いろいろ考えた挙句私は、電車がホームにやってきてもすぐには乗らず、ドアが閉まる寸前に駆け込み乗車」気味に乗り込むという荒技を考え付いたのです。

いやもちろん本気で迷惑な駆け込み乗車ではありません。ある程度余裕を持ってでも少し遅れ気味に、迷惑にならないようにタイミングを計って乗る。なかなか難しい作戦ですがそれでもう「乗ってしまったら戻れない」という状況を無理やり自分で作り出すしかありませんでした。

 

そして終電間際などできるだけ乗客の少ない時間帯を選び意を決して「決戦」に臨みます。

 

 

それでも、何度か駅前で悩み続ける時間を過ごしました。改札を抜けてしまえばもう戻れない。またあの「電車に乗れずシッポをまいて逃げ帰る情けない状況になったら」と思うとなかなか勇気が出ません。

しかし、次々と改札を出てくる酔っ払いたちの幸せそうな顔・・なんだかそんな顔を見るたびだんだん腹が立ってきました。

 

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「俺は電車にも乗れず苦労してるというのにお前らときたら・・・」

 

あまりに腹が立ってきて「ええいもう、どうなってもいいや!こんなことで悩むなんてアホらしい!」という気持ちになり、そのままの勢いで足早に改札を抜けてホームへと向かいました。

 

しかしあえてホームへは上がらず、いかにも遅れてきた風を装おうと階段下で待機。

やがて電車がやってきます。

 

案の定心臓はバクバク言い始めますが、気を紛らわす道具は持ってきてます。雑誌を握りしめ、音楽の流れるラジオをイヤホンで聞きながら『その時』を待つ私。

 

電車がホームへ滑り込み、ドアが開いて乗客が降り始めます。反対にホームの乗客が全員電車に乗り込んだ後、少しの沈黙がホームに流れます。そして車掌さんが駅に設置してある発車ベルを押そうと近づいた時

 

「今だっ!」

 

まさに清水の舞台から飛び降りる覚悟で、階段下からホームへ駆けあがる私。

階段からはすぐ近くにドアがあるので、そこまで急いでいたわけではありません。

車掌さんに「乗りますよ!」という意思表示を目くばせした後は割と余裕をもって乗り込むことができました。

 

 

さあもうこれで降りることはできません。電車に乗り込んだ私はもう何も考えず電車の中を歩くという作戦に出ました。とても本を読んでいる余裕などありません。ラジオからの音楽もほとんど聞こえません。

ただひたすら足早に電車の中を歩き続けます。

 

そのうち電車が動き始めます。この時に「閉じ込められた」と思ってしまったら終わりです。

私は心の中で必死に「大丈夫だ、大丈夫だ!なんてことはない、大丈夫だ!」と唱えながら車内を歩きます。

そうするとそのうちその状況にも慣れてきます。そしてまだ何人か乗客がいたこともかえって救いでした。その乗客たちを避けながら歩くのに神経を使って、他のことに気を回す余裕がなかったせいもあり上手い具合に気がまぎれたのです。

 

そうこうしているうちに電車が隣の駅に到着します。その間1分。しかし私にとっては永い永い1分。何事もなかったかのように出口に立ち、今か今かとドアが開くのを待つ私。

 

 

 

こうして私の「今世紀最大のアドベンチャー、人生最高の大冒険」である

 

「電車に乗って隣の駅へ行く」

 

というミッションインポッシブルは見事完遂されたのです。駅を降り、誰も通らない夜中の道で一人拳を突き上げガッツポーズする私。

ちょっと涙も出ていました。

 

 

それでもまだまだ「完治」への道のりは遠く

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一旦は各駅電車に乗ることができ、このまま治る方向へ進むと思われた私の「パニック症状」でした。

しかし、それだけではほとんどと言っていいほど改善しません。せいぜい1分の乗車時間でさえこんなにも大変なのに、それが乗車時間2分、3分と続くともうダメです。

 

一進一退の状態を繰り返し、これ以上大幅な改善が見込めないとわかったころ、私はようやく「心療内科」の診察を受ける決意をしました。

私の悪い癖です。いつも症状が悪化してからようやく医者へ行くというのが私です。皆さんは真似することなく、異常を感じたらすぐ医者の診察を受けましょう。

上記のような、私が自分で考えたリハビリ法はあてになりません。生療法は大ケガの元。結果、症状を悪化するだけなのです。

私も今ではもっと早く病院行ってればよかったと思っています。

 

 

そして私は家の近くの心療内科あるいは「メンタルクリニック」などを検索し、口コミなどを参考にしながらある病院へ通うことになったのです…。

 

 

追記

プロ野球千葉ロッテマリーンズの永野将司投手(26)がこのほど公式に「広場恐怖症」であることを公表しました。

永野将司投手、広場恐怖症を公表した理由を投稿「受け止めて、モヤモヤを取ろうと思った」

最近では芸能人が自身のパニック障害をカミングアウトする例も増えて(堂本剛さん、中川家さん、長嶋一茂さんなど)、たくさんの人にこの病気のことが知られるようになったと思います。もちろんこの病気にかかったことのない人もこの先かかる可能性はあるし、近くにそういう人がいたら、たくさんネットにも情報はあふれているので参考にして対応していただきたいと思います。「パニック障害」は周りの理解が一番重要です。

 

特にこういう「心の病気」と呼ばれるものは、知らない人から見れば「甘え」や「なまけ」に見える人もいるらしく、そのせいでなかなか言い出せない場合が多いです。私も友達や同僚に言えないまま、自力で直そうとしていたので気持ちはよくわかるのです。

もし周りの人がそういうカミングアウトをして来たら、あわてず騒がず、理解する必要はありませんが「受け止めて」上げてください。

それだけでもずいぶん違います。

 

「パニック障害奮闘記」第5話 初めての心療内科。選び方は?どんなこと聞かれるの?いくらかかる?へつづく

 

 

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