今日は、アナログ作画による「木」の描き方です。
一口に「木」と言っても種類がアホほどあるし、別に植物博士になるわけじゃないので「ある程度描けている」くらいでいいのです。
しかしその「ある程度描ける」が、なかなか難しい。「木の構造」をしっかり頭に入れないといけないしなにより ちまちました作画がとにかく「面倒くさい」(笑)。
根気のいる作業でもあるのでつい「テキトー」に描いてしまいます。しかし、綺麗に描ければ作品に「間」を持たせ、隙間を埋め、雰囲気作りにも役立ってくれる便利なアイテムです。
頑張って綺麗な「木」を描く練習をしましょう。
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木を描くのが苦手な人の特徴
木を描くといっても、イラストや絵画などではなくあくまで「マンガ」として描くわけなので、「漫画」ならではの「処理の仕方」があります。
木の種類は山ほどありますが、特別に「この木でなければならない」場合を除いて、マンガの背景に出てくる「木」には代表的なものがあるのでその特徴に応じた処理の仕方を覚え応用させていく。要は「処理方法の引き出し」を増やすことが大事です。
木を描くことが苦手な人の特徴としては、次の三つがあります。
①根気がない
②全体像を把握できてない
③処理の仕方が分かってない
①根気がない
特に「アナログ」つまり「ペン画」で木を描くときに必要なのは一にも二にも「根気」です。
そもそも漫画を描くという行為自体が根気のいる作業。絵を描くのは好きでも、背景を描くのが好きという人は、まあそうはいません。(0ではないでしょうが。)
好きなものを描いてるときは楽しくて、時間を忘れるくらい没頭できるでしょうが漫画は「好きなものだけを描くだけでは成り立たない」ものです。一つの作品として完成させるには「背景」「効果」「トーン」もすべて自分でやらなけでばなりません。
やりたくなければ早くプロになってアシスタントを雇える身分になるしかない。しかしそれまではどんなベテランも自分で何もかもやってきたのです。特に「木」の場合はペン先でとんとンとまさに点を打つ「点描」や木の葉っぱの描写の連続など細かな作業が続いてイヤにもなりますが、そこを適当にやってしまうといつまでたっても一枚の「絵」として原稿を見た時どうしても「粗」が目立って「いい絵」になりません。
せっかくキャラ絵は上手に描けたのに「木」がヘタクソで台無しになる、ということが初心者の原稿にはよくあります。
②全体像を把握できていない
そして根気が出ない、木がうまく描けない原因の一つに、自分の頭の中での納得できる「完成図」ができていないことも挙げられます。つまり「ゴール」が見えていない。ある程度自分で納得できる「木」が描ければそこに向かって少しでも進むことができますが、そもそもどこがゴールかをわかっていないとやみくもに進むことになりそのうち嫌気も指してきます。
この記事があなた自身の「ゴール」になり、そこに向かって努力するための道筋になれば幸いです。
③処理の仕方が分かってない
これは最初に書いた「あくまで漫画であって絵画ではない」に通じます。漫画には漫画ならではの「処理方法」があるので、それを勉強しぜひご自分の「処理の引き出し」を増やしていってください。いくらでも応用が効きます。
前置きが長くなってしまいました。それでは実践編です。
汎用性のある「木」 街路樹
漫画の中で出てくる「木」の中で最も多用されているのが、皆さんもよく見る「街路樹」でしょう。よほど「異世界」のファンタジーものでない限り様々な漫画で出てきます。
「間」を埋めるのにも便利なアイテムなのでぜひいろんな「木」を描けるように練習しましょう。
街路樹で代表的なのは「ケヤキ」「クスノキ」「桜」などでしょう。
形が美しく寿命も長いので街路樹には最適です。
画像引用 青柿
ではまず下描きから。
写真でもわかるように。いかにも「木」らしい「モコモコ感」がありますね。しかしあまりモコモコさせ過ぎてもイラスト的になってしまうので、微妙にその形を崩す意識も大切です。
基本的に「木」というものは、枝から伸びた葉っぱの束がいくつも重なることで「木」を形作っています。土台になる「幹」を中心に「円状」に枝が付き、上の方は短く、下に行くにしたがって太く長い。
あとで上に「葉っぱ」を描くのでそんなにしっかり描く必要はないですが、構造を頭の中に入れておくことは大事です。
この上に「葉っぱの束」を描きます。枝と同じで「円状」に重なってることを意識し、大きな束や小さな束など、形が同じにならないことにも注意を。
木の形も、少し歪ませた方がそれらしく見えます。
ここまで出来たらペン入れです。ここではあまり癖のない「オーソドックス」なタッチの入れ方を紹介します。あくまで基本にして、ご自身でオリジナルな入れ方を工夫してみてください。
まず葉っぱを描いていきます。葉っぱも、枝から外に向かって広がるように生えています。
一応その形を頭に入れながら細いペンタッチで輪郭を入れます。光源を決め、四方に生えている葉っぱをイメージしながら描きます。
光の当たってる部分は薄く、影の部分はやや濃く。葉っぱの輪郭が描けたら幹を描きます。
枝や幹の凹凸部分に強弱をつけることを意識。
つづいて葉っぱの部分に点描でベタを入れていきます。
ここが「根気」の入れどこです(笑)。葉っぱと同じように光源を意識しながら、点描の大きさも微妙に調節します。
モコモコ加減を意識しながらひたすら点描。ただ、実際原稿に描くときはここまで大きくもないし、よほど『森』をしっかり描く場合でない限りそこまで大変じゃありませんよ。あくまで基本を紹介してるだけです。
「木を描くのってってこんな大変なのか‥」なんて思う必要はないです(笑)
大きいのを一個描いてあとは省略、という「一点豪華主義的なやり方もありますし、基礎を覚えてあとはご自分で省略方法などを考えていけばいい話です。
あまりにも作業が疲れるとか時間がない時は、下半分をベタにしてしまうのもアリですが、作品の内容を選びます。画面が重くなりすぎたり逆に目立ってしまうことにもなるので注意が必要です。
葉っぱができたら「幹」を描きます。ここもオーソドックスなタッチの例なのでそこまで描き込みません。
注意するのは葉っぱとの境目です。かなり暗くなるので葉っぱのベタと幹のベタを両方上手くなじませながら描くことが大事です。
幹に関しても、描こうをつけることが肝心です。葉っぱ部分があまり暗くなり過ぎたから幹はあっさり描こうとか、バランスを見ながら描く癖をつけてください。
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アップにした時の幹の例
幹を大ゴマで描く場合の例です。ケヤキやクスノキなどは割と表面もツルツルしてるので描きやすそうですが、それがかえって難しいともいえます。縦と横の線の強弱を考え、ここもまた「円」であることを意識しながらタッチを入れます。
ところどころに「汚れ」があったり、表面の皮がめくれれてたりするとそれっぽいですね。
「松の木」などは表面がゴツゴツしてて特徴的です。こちらも光源によって強弱を考えたり、線を足したりして立体感を出します。
杉の木は松より少しゴツゴツのストロークが長い感じです。いろんな木をよく見てタッチの入れ方を独自に工夫していってください。
ベタとトーンだけで雰囲気のある幹を描くこともできます。
木の葉っぱを少し足して立体感を持たせたら一応完成です。
様々なタッチの例
ここまでするのが面倒、あるいはもう少しあっさりした木にしたいなら、この「影」の部分をペンタッチで表現する方法もあります。
光源に合わせてタッチを入れると自然な感じに仕上がります。
ベタ部分をただの点描じゃなくある程度葉っぱの形を意識して描き込むやり方もあります。
さらにタッチを足せばより雰囲気のある木に仕上がります。
あと、まだあまりペンに慣れてない人の特徴として、「近景」と「遠景」で線の太さやタッチの仕方が変わらないというのがあります。
慣れてないのと面倒くさいのが合わさって、どうしても遠くの方はゴチャゴチャッと適当に線を入れて終わり、という原稿をよく見ます。
気持ちはわかりますが、やはりしっかりと「距離感」を頭に入れ、それに応じたタッチを入れることが大事です。
どれにも共通して言えることですが、全体的にあまりゴチャゴチャ描き込み過ぎるとかえって画面を邪魔ししまうことにもなりかねないので、全体的なバランスを見ながら描くところはしっかり描く 抜くところはしっかり抜くという「メリハリ」が大事だと思います。
もちろん作風にもよるのでしっかり描き込みたい方はそれでもいいです。しかしプロの絵を見てみると全体的にしっかり描いてるようでやはりちゃんと光源を決め、メリハリの利いた画面になっているはずです。読者の目線、パッと目につきやすいところ、キャラを邪魔してないかどうかなど、いろいろ考えて描かれています。よくよくいろんな人の作品を見て研究することが大事でしょう。
長くなるので続きます。
次は住宅街などに植えられている植木、茂みなどです。これらはその家主の好みでいろんな木がありますから描き方も様々です。
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