漫画テクニック 背景苦手な人必見! 今よりちょっとだけ上手く見せるコツとは?

hai27 漫画テクニック講座 アナログ編

こんにちは。

10月になっても暑いですね。 在宅で仕事する僕にとってはせっかく電気代が安くなる月だというのにいまだにエアコンフル回転です。

このまま冬になって一年中つける羽目にならないかと心配してるOYUKIHANです。

まあそんなことは読者の皆さんには関係ないので(笑)、今日もテクニック講座張り切っていきましょう。

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さて、漫画を描くのは好きで毎日何かしら絵を描いている人であっても、「キャラを描くのは好きだけど背景は苦手・・」という人は多いでしょう。

 

そりゃそうだよなー。

背景描きたくて漫画描いてるわけじゃないもんなー。

 

だけどやっぱり背景を綺麗に描けるのは大事よ。

キャラがカッコよく描けても背景ショボかったら「アマチュア感」丸出しで、せっかく面白いストーリーでも魅力は半減するのよ。

 

んなこたあわかってるよ。

あーあ、何かこう劇的に背景が上手くなる方法ねーのかなー。

食べたらプロ絵師になれるパンとかさー。

 

そんなのあるわけないでしょ。

やっぱりこういうことは基本に忠実に、地道な練習をコツコツと‥

 

イヤだ―!俺は「たいして努力することなく、さほど時間もかけずに劇的に背景が上手くなる方法」が知りたいんだよー!

 

どうしようもないダメ人間ね。

でもその方法、なくはないわよ。

 

ウソ!?

 

 

というわけで(笑)、さすがに今すぐ「プロ絵師並み」の背景描く方法はありませんが、技術的にまだまだな人でもちょっとした工夫で「なんとなく上手そう」に見えるコツというものはあります。

 

今回はそんな「背景苦手な初心者」の人でも、少しの工夫で見栄えが良くなる描き方を解説していきたいと思います。

 

コツ① 光源、距離によって線の太さを変える

 

背景の苦手な人、あまりうまく描けない人の特徴としてはやはり「線がみな同じ太さで単調」というものがあります。

線にも「距離」がある

 

背景とは、よほど独特な世界観を持ったファンタジー作品でない限り「実際に存在するもの」を描くわけです。

そして我々の住んでる世界は三次元と言い、高さ、幅、そして「奥行き」で構成されています。「奥行き」とは「距離」のこと。すなわちその物体の距離感を「線で表現」するわけです。

しかし、まだそれほどの技術のない人は、その「距離を線で表現する」ことができません。

全ての線を「均一な線」で書いてしまう。言い方は悪いですが「ただ引いただけの線」である場合が多いです。

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なので、上の図のように建物あるいは距離によって線の太さを変えること。これがまず背景を描くときの「基本中の基本」です。

そもそも目の前にあるものと10メートル先にあるものが「同じ線」で描かれている方が不自然なんですね。

これを気にできただけでもあなたはすでに「脱・背景ビギナー」です。

 

物の大きさだけを変えりゃいいってもんじゃないんだなー。

一本一本まで変える必要はないけどね。それはプロしかできない。

せめて「キャラ線」>「近距離」>「遠距離」くらいで線の太さを意識して描くと、それだけで見た目けっこう変わってくるわよ。

 

距離感と言うと「モノの大きさ」だけを意識しがちですが、プロはその物体を構成している「輪郭線」にまで距離感を与えるのです。難しく考えず、手前は太く、奥は細くと覚えておくだけでもいいでしょう。

 

タッチも描けばいいってものではない、あえて描かないのも手

タッチとは、物体の立体感や、自然な汚しを入れる方法として用いる手法です。

 

ただこのタッチも、何も考えずただ入れるだけではただ単に画面を汚くするだけ。

入れ方にもコツがあります。

 

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慣れてない人のタッチの入れ方の特徴としては、やはり「線が太い」「均一」という点が挙げられます。

何も考えずただ均一な線を入れるだけではあまり効果がありません。

影になってる部分やできるだけ端っこの方に軽く入れる。キャラの周りは避けるなどあくまで目立たないようにするのが基本です。

 

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あくまで線は細く。主線の半分くらいの細さが理想ですが、できなければ無理をせず、「描かない」という選択肢もアリです。無理をして汚すよりマシ。どうしても白さが気になる人は影トーンを貼って調子をつければいい。

とにかく背景はキャラより目立たないことが鉄則です。線を入れ過ぎて目立ってしまうよりは、タッチを入れずにまずは形をしっかり描くことに重点を置いた方がいいです。

 

線は「入れ過ぎる」より「少し足りない」ほうがいいのです。足りなければ足せば済みますが、入れ過ぎた場合修正に時間と労力がかかります。「ちょっと物足りないかな‥」程度で止めておくのも背景を描くときの考え方の基本です。

 

コツ② 全部描かない

 

まだ技術が未熟な人の特徴として、全部を描こうとしてしまうということがあります。

背景作画にも「メリハリ」が必要で、上手に手を抜くことでかえって綺麗な背景になったりします。

その「上手な手の抜き方」を解説します。

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奥の背景線の「抜き」表現

 

遠くの背景は「線を抜いてしまう」やり方。この方法でも「距離感」を表現することができますね。

 

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手前の物体は形をはっきりさせるためにもしっかり最後まで描きますが、奥の物体は線を全部描かず、途中で抜いてしまうのです。

現実の街景でも、遠くのビルがかすんで見えないなんてことありますよね。あれを線で表現するのです。

ただやみくもに抜くのでなくやはり規則性があった方が綺麗に見えます。

建物を描く場合ならやはり光の当たってる部分ですね。特に昼間は上から光が当たるので、建物の上の方を抜く感じでいいでしょう。

 

他にも距離感を表現する「抜き」の例

地面の格子

歩道などがタイル地になってると格子状に線を引いて表現します。これも線を抜くことで距離感を出すことができます。

 

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 物体の「角」などの「抜き」表現

 

次に建物の「輪郭線以外」の角の線を抜くやり方です。

輪郭線はしっかり描きますが、それ以外の角の部分の線はあえて抜きます。そうすることで読者に「見えない線の存在」を感じてもらうのです。

 

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どういうことかと言うと、真ん中の線は全部をはっきり全部描かなくても抜き線が導線となり読者は「ここにも線がある」と勝手に認識してくれるのです。

そうすることで絵に「立体感」が生まれます。

 

なぜ立体感が生まれるのか

ご自分でも見てみるとわかりますが、世の中にある「立体」の「角の部分」は、「角」とは言いながら決して角ばってはいません。少し「丸まって」いるのです。

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どんなに角ばって見える物体でも近寄って見ると「丸」になっています。したがって本来そこに「線」は存在しないのです。そこにご丁寧に線を引いてしまうといかにも「記号」のような立体になってしまい実在感がないのです。

途中の線を抜くことでその「丸み」を表現できるわけです。

そのため、もちろん抜き線は輪郭線より「細く」が鉄則です。

 

フェンスやシャッターなども、光源を決めて抜くところは抜く

フェンスやシャッターなど、線の量が多い背景は全部描いてると時間かかるし、ゴチャゴチャ描きこむと画面がうるさくなるので抜くところは抜いて描きます。

その場合も適当に抜くのでなく、ちゃんと「光源」を決めて抜くようにすれば汚く見えません。

 

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この「抜き線」の活用はまさに自分も楽だししかも絵が上手く見えるという「一石二鳥」の方法なのです。

 

「抜き線」を活用すれば距離感も立体感も思いのままに表現できる。しかも時間も短縮できるし自分自身の負担も少ない。これができるかできないかで格段に見栄えも作業効率も違ってくるのです。頑張ってマスターしましょう。

 

 

コツ③ 難しいと思ったら「描かない」

 

街景をトレースや模写する時、生活感を出そうとして「自転車」など、いかにも難しいものをわざわざ描いてしまう人がいます。もちろんちゃんと描ける技術があれば別ですが、まだそこまでの腕がない場合逆に難しいモノを描くのはかえって画面が汚く見えて逆効果です。

他人事のように言ってますがまさしく過去の僕自身の事です(笑)。これは昔からの悪いクセ。

できもしないのに「凄いもの描いてやる」と鼻息だけは荒かった。そしてあとで後悔する。いつもこのパターンでした。

 

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そんな時は割と簡単に描ける、茂みやごみ袋などに変えてしまうやり方もあります。

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ただその場合も「きれいな手の抜き方」を知らないとかえって素人感丸出しになってしまうので注意。

そういう人はおそらく「中間の処理の仕方」を知らないからでしょう。だから「木」を描くときにただ真っ黒に塗りつぶしたり、ゴチャゴチャした木になってしまい、かえって目を引いてしまうのです。

こういう、近距離でも遠距離でもない場所にあるものの「処理の仕方のバリエーション」を増やすのも「上手い背景」を描くコツです。

 

「木の描き方」のバリエーションなどはこちらの記事でも書いてますので参考にしてください。

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コツ④ 「まっすぐ」描かない

 

まっすぐ描くとはこういう事です。下図

 

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まるで「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」などに出てくる背景のように無機質な、まさに図形の様な背景を描いてしまうとリアリティが出ません。

せめて壁を二面描くことによって立体感を表現するようにします。

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左右対称や規則的に見えるといかにも「図形」みたくなってしまうので少し「カメラアングル」を変えて斜めから見た図にするとカッコいい絵になります。

 

それからこれは中級者用かもしれませんが、街並みの処理の仕方にもコツがあります。
街を描くときはなるべく「ランダム感」を意識した方がそれっぽいということ。もちろん住宅などは規則的に並んではいますが、それをそのまま規則的に描いてしまうのもよくありません。
ランダムな描き方についてはこちらで説明してるので参考にしてください。
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コツ⑥ 文字はよほどアップじゃなきゃ書かない

 

例えば商店街などを描くとき、店の名前が看板に書いてあったりするので情報として入れようとする気持ちはわかります。

しかし、看板の文字も、それこそレタリングのプロが描いてるわけで未熟な我々が簡単に真似できるはずがありません。

安易に描いてしまうと汚く見えたり、まるでキャラがしゃべってるように見えたりすることがあります。

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もし描くのであればしっかり、しかも繊細なタッチで描くことです。無理だと思うなら描かないでおきましょう。

それでも何か入れたい、画面の白さが気になるという人は四角やラインなどの「記号」で表現すればそれほど画面を汚すことなくスッキリ見せることができるでしょう。

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まとめ

 

以上、背景作画に自信のない人向けに「ちょっとだけ上手く見せるコツ」を解説してみました。

もちろん本来は基本をしっかり学んでコツコツ練習するしかないのですが、

「月末に新人賞に応募するんだよお!」てな人とか、「コミケに間に合わせたい!」って人にはちょうどいいんじゃないかと(笑)。

前にもどこかで書きましたが、背景が苦手だという人は要するに「処理の仕方の引き出し」がないだけなんですよね。あまりこういうことは教えてくれる人もいないですし。

元々漫画家を志す人たちですから、絵心はあるはずなんです。 やり方を覚えればできるんです。

 

「こういう時はこう処理する」というバリエーションを増やせば、「プロ絵師」ほどの技術はなくてもあなたの作品はグッと見栄え良くなります。

参考になれば幸いです。

 

一口に背景と言ってもいろいろ処理の仕方があるんだな。

 

こういうこと教えてくれる人あまりいないから難しそうに見えるけど

覚えてしまえばそんな大変じゃないから。

あと自分独自の処理の仕方なども考えるとオリジナリティ増すしね。

 

パースのとり方など専門的なことに関してはこちらでも書いてますのでよければどうぞ。

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