前回の続き
私の「パニック障害奮闘記」第一話。満員電車の中での初めての発作
超満員すし詰め状態の電車の中、味わったことのない恐怖感に襲われた私。
しかしその後普通に仕事をこなし、何事もなかったように家に帰ろうと帰りの電車に乗りこんだ時でした。
何事もないのに不安に襲われる・・広場恐怖の始まり
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その時の電車の中は 混んではいましたが座れる席もあったりして、割と余裕のある状態。疲れもあって空いてる席に座って体を休めようとした途端、
朝感じたあの「嫌な感覚」がまた襲ってきたのです。
何でもないのに、漠然と感じる不安。だんだんと動悸も激しくなってきます。
身動き取れないわけでもないのに、そこに「人がいる」だけで感じる息苦しさ。
「何だこれ‥ヤバい、早く外へ出たい!」
しかし電車はまだ動いたばかり。早く帰れるように、急行電車を選んだ私。あと数分は駅に留まることはありません。「パニック障害」にとってこの「数分間」が、とてつもなく長い時間に感じるのです。
パニック障害のきっかけになった場所と同じような場所で感じる不安を「広場恐怖」といいます。
脂汗がたらたら、心臓はバクバク。耐えきれなくなった私は思わず席を立ち上がり、車両の中を意味もなくウロウロ。とにかく、こんなところで具合が悪くなってしまったら恥ずかしい、なるべく人の少ない車両に移ろうと歩き続けました。
後になって考えるとこの行動はよくなかったですね。かえって焦りを生み逆効果になります。しかしその時の私にはそんな知識もなく、とにかく早く外へ出たい、これ以上おかしくなる前に楽になりたい、その一心でした。
ようやく次の駅に着いた私はまたベンチでぐったり。
自分の体に起きた異常にようやく気付いた私。それからはもう電車に乗ることが怖くてたまりません。しかし家に帰らなければ。こんなところでホテルになんか停まってたら今日の稼ぎがパーです。
何とか勇気を振り絞って各駅電車に乗り家路を急ぎました。この時、帰宅ラッシュとは逆方向だったのが幸いでした。割と空いてる車両に乗って帰ることができたので。逆だったら終わりでした。
しかし当時の私にはその各駅停車ですらそのうちだんだん怖くなり、ついには、まだ自宅最寄り駅までだいぶあるというのに全く電車に乗ることができなくなるという事態にまでなってしまいました。
とにかく電車に乗るのが怖い。
普通の人からすれば「何言ってんの?」って感じですがもう、ホームに立っていて電車が近づいてくるだけでで心臓がバクバク、息苦しさの極致なのです。とても乗り込む勇気はその時の私にはありませんでした。
『またあの時と同じような発作が起きたらどうしよう・・』
発作が起きてもいないうちから起きた時の事を勝手に想像してしまい、恐怖でその行為自体ができなくなることを「予期不安」といいます。
しかしこの時の私はまだ、とりあえず少し休めばまた元に戻るだろうとタカをくくっていました。
昔から歩くことには慣れていた私は結局それ以降電車に乗ることをあきらめ、家まで数キロを歩くことにしました。
しかしトボトボ歩き始めたころ今度は、電車に乗っているわけでもないのに心臓がバクバク言い始めます。だんだん呼吸も荒くなり、息をすること自体が苦痛になってきたのです。
「いったいどうしたって言うんだ…」
もうこの時は自分の体がどうなるのか、本当にこのまま死んでしまうんじゃないかってくらい不安になりました。発作はしばらくすれば治まるのですが、ピークの時は本当に頭がどうかしてしまうくらいの恐怖感にさいなまれます。
それが、電車に乗っているときだけでなく外を歩いているときにも起きたのです。
「ああ、もうオレ、この先生きていけない・・」
本気でそう思ったものです。
やっとのことで家に帰ると、さっそくパソコンで検索。しかし何をどう検索すればいいものか・・とりあえず「動悸、めまい、息苦しい 電車」で検索をかけてみます。
すると当時の私にとっては見慣れない
「パニック症」
「パニック障害」の文字が。
恥ずかしながら私は「パニック障害」という病気があることさえこの時まで知りませんでした。
いや耳にはしていたかもしれませんが、まさか自分がその病気にかかるとは思いもしなかったので気にも留めてなかったのでしょう。
「パニック症?パニック症っていったいなんだ…」
それが私の「パニック障害」との最初の出会いでした‥‥。
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初めて知る「パニック障害」という病気。原因は?
調べていくうちに、私の症状は間違いなく「パニック障害」の症状であると確信が持てました。
パニック症にかかる原因はまだはっきりと解明されたわけではありませんが、おおよその事はわかってきているそうです。
以前はパニック障害は「心の病気」と言われてきました。
しかし最近では「精神的なもの」というより「脳の神経伝達物質の分泌異常」による「脳の警報システムの誤作動」であることまでは解明されています。
脳の警報システムとは?
人間の脳には様々な神経伝達物質があります。
心の平穏を保つ「セロトニン」
不安や緊張をもたらす「ノルアドレナリン」
興奮を沈め、リラックスを促すGAVA
(γ-アミノ酪酸 Gamma Amino Butyric Acidの略)
これらが自律神経などに作用し落ち着いたり緊張したりするのですが、これらがあるきっかけによって分必異常を起こし、必要のない所で不安や緊張を感じたりするのです。
不安や緊張を感じると脳幹にある「青斑核」(せいはんかく)という部分から「ノルアドレナリン」が分泌され、心拍数が上がったり緊張を感じたりするのです。
しかしこれはもちろん悪い事ではありません。動物である人間が危険を回避するために必要な機能で、いわゆる「警報のシグナル」と言えます。しかしそれが何らかのきっかけやトラウマで
「何の問題もない所で異常に分泌されてしまう」。
これが現段階で分かっているパニック障害のメカニズムだそうです。
私の場合は、「満員電車で閉じ込められた」という体験が完全にトラウマになり、
「電車の中」=「危険な場所」という神経回路が完全に繋がってしまいました。
電車に乗る、あるいは乗ろうとするだけで脳からの「間違った警報シグナル」が鳴ってしまい、勝手に緊張したり不安になったりしてしまうのです。
その結果、普通の人が当たり前にできる「電車に乗る」という行為そのものができなくなってしまったようです。
しかし、原因はわかってもそれをどうやって治療するのか。
私は、今もそうですが「大の医者嫌い」です。しかも、「脳の病気」とはいえ、いろいろ調べていくうちに診療にかかるのは「心療内科」です。
今ではそんなに偏見はなくなったようですが、初めて行くにはまだ自分の中で抵抗がありました。
なのでこの時も
「何とか自力で直してやろう」などと、無謀な挑戦を試みることにしたのです。
それがいかに甘い考えだったか、あとで嫌と言うほど思い知らされることになるのですが・・。
パニック障害奮闘記」第三話 はたして自力で治るのか?私が取ってしまった行動は・・よいこは真似しないでね。へつづく
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