デジタルプロアシJ君登場! アシ同士の哀しいマウントの取り合いとは? 漫画アシスタント体験記第50話

アイキャッチ10 漫画アシスタント体験記

こんにちは OYUKIHANです。

 

ずいぶん久しぶりになりましたが体験記の続きです。

前回まで

目指せデジアシマスターへの道? 漫画アシスタント体験記 第49話
こんにちは、少し涼しくなってきたとはいえまだまだエアコンは手放せませんね。 暑かったのでやめていたジョギングをそろそろ再開しようか悩んでいるOYUKIHANです。 さて前回の続きです。 埼玉県の一軒家で仕事...

 

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若いのにすでに達人の域・・デジタルプロアシJ君との出会い

 

遠方へのヘルプアシスタントに入った私は、現場で初めて「デジタルアシスタント」というものを経験することになりました。

しかし元々アナログ人間でパソコンに触る事すらかなり後だった私にとって、コンピューターで漫画を描くなんて夢のまた夢の出来事。案の定遅いわ間違えるわ、はっきり言って何の戦力にもなっていませんでした。

あの忌まわしい「アシスタント初日の記憶」が再びよみがえった私は、思い通りに動かないパソコンを前に汗だく。デジ仕事の中でももっとも簡単であろう「バケツツールによるベタの塗りつぶし」さえ常人の三倍かかってやっと塗り終えるという始末でした。

そもそも『ペンタブレット』なるものに触るのも初めて。ペン先の力の入れ具合にあんなに苦心した過去を考えれば、数値を変えるだけでその筆圧まで自由に変えられるというあまりの便利さに

「あんなに怒られながら体得した技術は何だったんだ‥」と仕事始まったばかりだというのにけっこうなカルチャーショックに打ちのめされていました。

 

言われた作業を何とかこなしてヘトヘトになってるころ、遅番出勤のアシスタントさんが仕事場に現れます。元々資料写真がそろうまでのつなぎとしてデジ作業をやっていた私は、

「これでまたアナログ仕事に戻れる・・」と内心ホッとしていました。

しかし作家のさん、

「○○さんさ、せっかくだからデジタル覚えなよ。このJ君は若いけどデジタルに関してはもう熟練だから何でも聞くといいよ。」

と、この後もデジタル作業を続けることを私に勧めてきます。

軽く抵抗はしたものの、今それ以外に頼める仕事がないと言われ仕方なく従うことになりました。

こうして、アナログ作業に関してはそこそこの自信がつき人に教える立場でさえあった私が、弱冠22歳、専門学校卒業したばかりのアシスタント初心者のJ君にデジタル仕事を1から教わるという

なかなかに「タフ」な時間が始まったのでした。

 

教える方も教わる方も素人

 

私は前回書いた通り当時は「レイヤー」すら知らないデジタルド素人でした。

なので、作業を教わるどころの話ではありません。どうやったらデジタルで漫画が描けるのか、その仕組みから教わらなければなりませんでした。

 

君「このツールパレットに作業するためのツールが入っていて、それを切り替えることで作業するんです。」

私「え?切り替える?どうやって?」

「クリックすればいいんです。ペンタブでクリックして切り替えて、細かい作業は右クリックするとダイヤログが出て・・」

「ダイヤログ?」

「このツールオプションでペン先や消しゴムのサイズが変更出来て‥」

「ツ、ツールプ・・プロペラ?」

 

次々飛び出す専門用語に頭は爆発寸前です。

J君も、私のあまりの「わかってなさ」加減に半ば呆れ気味。なおかつ君自身、自分でやる分にはプロ級ですが人に何かを教える立場になったことがないので、そこまでわからない奴にどうやって教えていいかわからなくなっているようでした(笑)。

教える側も教わる側も素人というカオスな時間がしばらく流れます。

だんだんと言葉にもトゲが出るようになり、私の操作が遅かったり間違えたりすると

『ああ、違うって!さっき言ったじゃん!』と完全なタメ口状態(笑)。まあいいんですよ。私の方が今は立場下なんですからね。しかし、明らかに「イラついてる」J君の姿が、心の中でちょっとおもしろかったのは事実です。

 

と、一通りの基本を教わったころ作家のOさんからまた別の提案がありました。

 

じゃ今度は君がさ、○○さんにアナログの技術を教わりなよ。○○さん、j君はアナログの方はまだまだなんだ。ぜひ基本の技術を教えてやって欲しい」

 

君&私「!・・・・」

 

なんと今度は私が君に「アナログ技術」を教える側になってほしいと言うのです。

君は前にも書きましたがデジタル作業はもはやプロ級でしたが、アナログの背景技術はまだ素人同然、この仕事場で一から学んでる状態の人だったのです。

自分で練習してきた背景を作家さんに見せて勉強していたとのことでした。

しかしやはり多忙な作家さんは一から彼に教える時間などなく、急遽、この現場でまだそこまで戦力になってない私が一番都合いいという事になったようです。

つまり先ほどまでとは立場が180度逆転したわけです(笑)。

 

代わって君が机に座り、私が彼を指導する係になりました。実際、J君が持ってきた練習用原稿を見ると、なるほど現在の技術ではとてもプロ原稿は任せられないなといった状況。

新しく渡された課題を君に描かせ、線の入れ具合やパースの狂いなどをチェックします。

 

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ただわかる人はわかると思いますが、デジタルはある程度操作方法さえ覚えればどんな素人がやっても同じように動いてくれます。ペンのサイズや「抜き加減」も、数値で設定すれば勝手にソフトが対応してくれるので覚えさえすれば誰でもできるようになるもの。

しかし「アナログ作業」はそうはいきません。「こうやって」と言ったところで力の入れ具合まで数値化することはできず。結局本人が体で覚えるしかないのです。

言葉で説明してもなかなか思うようにいかず、君は苦悩します。先ほどまでの自信満々な態度は一変。とたんに弱々しく「こ、これでどうですか‥」と聞いてくる姿はまるで「借りてきた猫」状態でした。

アナログ作業には練習量が必要で、一朝一夕にできるものではありません。それがわかっているので私も最初はある程度「甘め」な指導になっていましたが、やはりプロの現場で使えるようになるには妥協していては本人のためにもならないのでたまに厳しめな指導になることはあります。

それを汗かきながら必死でこなそうとする君・・。まさにさっきとは完全に立場逆転です。

 

ただ私の方も彼が描いてる間遊んでるわけにもいかないので、私は私で「デジタル作業」の復習をします。

と、やはりわからないことが出て来て結局j君に聞くことになります。すると今度はJ君先ほどまでの弱々しい態度がまた切り替わり、プロデジアシの顔になります。(ひょっとしたら先ほどまでの私の指導に対し「やり返してやろう」という気持ちも少し芽生えたのかもしれません(笑)。)

最初の方より明らかに細かく厳しい指導になっていました。

そしてまた逆にアナログ指導になると私の方が立場が上に…。

 

 

おわかりいただけただろうか。

いわゆる「使えないアシスタント同士の、わけのわからないマウントの取り合い」が

終始繰り広げられていたわけです(笑)。

 

その日の作業が終わっても、二人は・・

 

 

その現場は泊り仕事で、仕事が終わると他のスタッフさんたちは布団を敷いたりゲームをしたり思い思いの時間を過ごします。

しかし君はなんと仕事が終わってもまだアナログ練習用の原稿を描き続けています。元々真面目で努力家なんでしょうね。その姿に私もなんだかそのまま寝るのはもったいないような申し訳ないような気になり私は私でデジタル作業の練習に。

割と広めな仕事場で私と君の二人が、言われてもいないのに黙々とそれぞれのスキルアップに努める姿はちょっとしたドラマのようでした(笑)。カッコいいBGMでも流れたら少し感動して泣いてしまいそうです(笑)。

そしてなんだかこの頃になるとお互いに不思議な連帯感を感じるようになってきました。さっきまでちょっとしたマウントの取り合いをしていた二人が、他に誰もいない仕事場で熱心に作業をし、わからないところは尋ねあい、出来るようになると褒めあったりして、まるで心の同士のような仲間意識が芽生えてくるのです。

苦楽を共にするとなんだが情も芽生えて、夜中過ぎにはすっかり打ち解けあってる二人がいました(笑)。

 

 

そんな感じでその仕事場には計三日、何とかその現場でのお手伝いを無事終えることができました。

もちろんまだまだではありますが君と私の技術も最初の頃よりは多少上がったと思います。君ともすっかり仲良くなり、お互いの健闘を称えあうような関係になっていました。

 

 

 

・・・・私の初めてのデジタル作業編はこれで終わりです。

それから君には会ってませんが元気にしてるかな‥。

今私がデジタル作業をメインでやっていけてるのも、基本を叩きこんでくれた君のおかげだと思っています。

現在の私の「ちょっとだけ慣れたデジタル作業」を、君に見てもらいたい気も、たまにします(笑)。また厳しいダメ出しを食らうかもしれませんが。

あれからアナログの練習やってるかな‥あれ以来やってなかったりして(笑)。
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