今となっては笑い話・・にもならない? 漫画アシスタント体験記 第5話

asi25 体験記

 

情けない話、略して「「ナサバナ~」

人間、テンパるとロクなことがありません。それ自体の存在は知っていても、そんなことあるはずがないだろうと思っていたことが現実に起きてしまうものです。

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ドキドキの下描きチェックを終え、少しホッとしてしまったのでしょうか。少し遅れ気味だったせいもあり下描きOKの段階で私は既に目の前にあるインク瓶の蓋を開けていました。

正面にいる先生から原稿を受け取り、さあいよいよペン入れだと気持ちが焦っていたのかもしれません。私の右肘が、蓋の空いたインク壺に見事ヒットしてしまいました。 あとはご想像通り。ただでさえ漫画を描くときの机は、描きやすいように多少角度をつけてあります。 簡易的に雑誌を机の向こう側に置きその上に板を乗っけてる人もいますし、自分専用にいい角度のついた机を制作する人もいます。

要は少し「自分側」に向かって「斜めって」いるのです。 そして普段はインク瓶は安全のため小さな器の中に置いてあるものなのですが、はやる気持ちを抑えられない私は器から出し、しかも蓋を開けて置いていたのです。

ああもうここからは、思い出すのも恥ずかしい。

肘にヒットしたインク瓶は当然ながら自分の体に向かって勢いよく転がってきました。不幸中の幸いだったのが中身はそんなに入ってなく被害自体は思った程ではなかったうえ、肝心の原稿は手に持っていたため生原稿をインクで汚すという最悪の事態は免れていました。これをやってしまったら本当に「終わり」です。

しかしそれでも 机の上 自分の服 そして下のじゅうたんと、漆黒のインク汁がそれはもう美しい絵を描いて広がっていきました。

これからアシをやろう(アナログ限定)という人たち、これだけは肝に銘じてください。原稿は、水気のあるところからは確実に遠ざけること。特に他のことに集中してると忘れがちです。常に置く場所は固定し、なにか入れ物に入れて動かないようにするのが一番です。

その時の現場の空気・・お察しいただけますでしょうか。私はあの時ほど、「これが夢であってくれ」と心から願った時はありません。

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本当にこんな事が起きるなんて・・漫画のセリフじゃないですが私はほんとにこう呟きました。話にはよく出てくるあるあるです。あと、スクリーントーンをカッターで切断する時に下の原稿も一緒に切ってしまうとかね。 しかし(そんなことあるわけない)という笑い話になってるのも事実です。実際私も思ってました。(小学生じゃあるまいし ちょっと注意してりゃ防げることだよ)と。

しかし実際に起きてみると、自分自身への恥ずかしさ以前に初日から迷惑かけてしまったことに対する申し訳なさで、さっき通ってきた川沿いの土手道を泣きながら走って逃げたい衝動にかられました。 実際今でもこれを書いてて泣きそうです。

しかし私はあえてこれを書くことで読者の、そしてこれからアシをやろうとしてるみなさんに(こんなバカでもそれでもやっていけるんだ)(自分はここまでひどくない)という、勇気と自信を持ってもらうため自分の身を犠牲にして書きます(大げさ)。

というかこれくらい笑い話にでもしないとやってられません。事実そのあと作家さんの(何やってんだよ)という目線と先輩アシさんたちの(大変ですね)という同情の目線を体中に感じながら机を拭き、じゅうたんを拭き、服についたインクを洗うため洗面所に向かう途中マジで泣いてましたから。

初日ですよ?まだなんの戦力にもなってないんですよ?本当に申し訳ないやら情けないやら。こんな具合に、私のアシスタント初日の仕事ははっきり言って散々な状況。この先何が起こるのやら まだ始まって数時間しか経ってないにも関わらず私の感情は完全に「恐怖」一色に支配されてしまっていました・・。

 

つづく

(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。)

今思い出すのも辛い?(笑) 漫画アシスタント体験記 第6話

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