漫画の作業もアナログからデジタルの時代へ・・・
こんにちは OYUKIHANです。
通勤してアシスタント作業をし始めてから数年。ある程度力もついてどこへ行っても即戦力で仕事をするようになっていました。
時にはその仕事場のチーフになり、作業の割り振りや後輩の指導、編集さんとの連絡までやるような、まるでマネージャーのような仕事までやるようになっていました。
そして仕事内容もだんだんと変わっていき、PCでの作業も多くなるように。
ただ最初はまだアナログ6パソコン4くらいの比率で、アナログで描いたも原稿をスキャンしてパソコンに取り込み、それを当時は「comic studio(以下コミスタ)」というソフトで線画修正+トーンという形で仕事をしていました。
作家さんが近くに住んでるときは、指示だけもらって家に帰り、出来たら仕事場に持ってきてスキャンという便利そうで便利でないやり方をやったりもしてました。
ただそれはそれまでちゃんと仕事をしてきたという信頼と実績が可能にしてるもので、すぐそういう形で仕事ができるわけではありません。
しかも僕自身、まだアナログ作画の方が慣れていたからそうしていました。しかしだんだんとデジタルで作業することが多くなり、背景も少しずつパソコンで描けるようになってきます。
すると今度は指示入りのデータをUSBなどに入れて持ちかえり、出来たデータをまたUSBに入れて仕事場に来る、そして最後の仕上げをみんなでやる、という内容に変わっていきました。
そうこうしているうちにとうとう出勤することもなくなり、データをファイル送信サービス(データ便、おくりん坊、GIGA fileなど)を使ってやり取りするだけの「完全在宅アシスタント」となっていきました。
今流行りの「テレワーク」「リモートワーク」を、我々はもう数年前からやっていたわけです。
はじめの方は楽でしたよ。なんせ出勤しなくていいんですからね。漫画の作業はそんな朝早くからやることはなく、大体10時とか11時出勤とかが多いのですが、それでも少し遠い所に住んでると毎日の出勤も大変になります。
僕はパニック障害も抱えていたので朝はほぼ始発に出勤が普通だったのでより大変でした。夜などは遅くなればなるほど電車が混むので近くまでなんとか言ってあとは「歩く」という無謀なこともやったりしてたので、この「出勤しなくていい」という作業の仕方はまさにうってつけ。
この仕事やっててよかったと思える理由の一つになりましたね。他の仕事だったら今頃出勤退勤に神経使って疲れ果てていたでしょうからね。
空いた時間に別の作家さんをお手伝い
そして在宅アシスタントができるようになるともう一つメリットがあります。
それは「掛け持ち」ができること。
いや今までも掛け持ちはできないことはありませんでした。週間連載の作家さんだと厳しいかもしれませんが今は各州や月間連載の作家さんも多く月に3日とか5日とか少ない日数でアシスタントを募集してる人とかも多く、上手く日程を調整すればアシスタントだけでも結構な収入を得られるようになります。(まあ漫画家を目指してる人には意味ない事でしょうけど この頃の僕はもう既存の雑誌で漫画家になることはほぼ諦めて来てましたからね。)
今はネットでアシスタントに応募できる方法がいくつかあります。一つは出版社のHPで募集してる場合そこから応募する方法。もう一つは作家さん個人がツイッターなどSNSでアシスタントを募集してる場合直接コンタクトとって応募する方法。そして最後はJ・A・CやGANMOなど、アシスタント応募用の掲示板などで応募する方法などです。
僕は大体掲示板の方を使います。そこで行けそうな作家さんを探して応募する。まあ漫画界のハローワークみたいなものですかね(笑)。
そして今回は初めて「在宅アシスタント募集」をしている作家さんにコンタクトを取ることにしました。
ここでさらに在宅アシのメリットを言うと、世界中どこで仕事をしている作家さんとでも仕事ができるという点です。
今まではどうしても通勤圏内、僕は現在は東京に住んでいるのでその近辺、せいぜい埼玉とか千葉とか行けてもそのあたり位でした。まあ作家さん自体東京近県で仕事をしている人が多いので特に困りはしなかったですが、さらには関西に住んでる作家さんとかでも普通に仕事ができるという点でリモートアシは実に便利です。
この時コンタクトを取った作家さんも兵庫に住んでる方でした。
そしてなんといっても凄いのが、ある程度自分の略歴と作画サンプル数点を見せてOKになれば即仕事開始という手軽さ。普通現場に出勤するタイプのアシだと、仕事の前に事前面接とか(僕が一番最初に行ったところがそうでした)があったりするのですがそういった手間も一切なし。
だからお互い相手の顔も知らないまま仕事をするという形になります。これってすごいことだと思いません?完全に相手との「信頼関係」だけで成り立つ作業形態です。でも信頼関係と言ったってお互い合ったことも喋ったこともない相手ですよ。んなもんあるわけありません。
単に「ちゃんとやってくれるだろう」というあいまいな「思い込み」だけです。いや実際今は慣れましたけど最初はびっくりしましたよ。というか逆に僕が作家さんの立場だったとして、それで仕事頼めるかと言ったらNOです。絶対怖くて頼めません。いつ連絡とれなくなっても不思議じゃないんですから。
事実そういったトラブルもあるそうです。アシだけでなく作家さんに連絡とれないとかね。僕は幸いそんなことは今までないですが、給料もらってないのに作家さんと連絡つかないということもあるそうです。イヤ恐ろしい。
それでも作家側アシスタント側双方にメリットがある働き方なので、これからは今まで以上にこの「在宅アシスタント」という働き方は主流になっていくでしょう。
在宅アシスタントや在宅イラストレーターのメリットデメリットについてはこちらの記事でも書いてますのでよろしければ。
それはさておき、新しい作家さん Oさんと連絡を取り、さっそく仕事をすることに。
だいたい在宅アシの作業ルーティンとしては、作家さんから指示の入った原稿ファイルがデータ便やスカイプ、ドロップボックスなどで送られてきます。それを受け取り、コミスタやクリスタなどで作業したものをまた作家さんに送り返す、というのが基本です。
途中下描きや作業中のチェックを入れる作家さんや一コマ一コマ送るよう指定する作家さん、全部終わった後でチェックする作家さんなどやり方は様々です。
Oさんはスカイプで送ってくる方でした。ある程度作業に関しては自身があった僕は、初めての「会ったこともない作家さんとのお仕事」でしたが、割とそつなく暫くはこなしていました。
ところが・・思いもよらないところに落とし穴があったのです。
インターネットがつながらない・・・?
デジタルアシとして仕事をこなし、パソコンを使う頻度はそれまでとは比べ物にならないほど多くなっていました。そしてパソコン作業でやり取りするうえで一番肝心なものが「インターネット」です。
そんな大事なインターネットが、作業をしている最中 突然切断されてしまったのです。
これは慌てますよ。
漫画の作画作業自体はパソコンにソフトをインストールすればできるのでネットにつなぐ必要はありません。
しかし、作家さんとのやり取りはもうネットが全てです。それがなくなってしまったら一切連絡が取れなくなります。あまり作家さんとの打ち合わせでケータイの番号まで教えることはありません。大体がメアドです。
今はスマホにスカイプやLINEが入っているのでそれで連絡はつきますが、この当時は連絡はメールとパソコン上でのスカイプのやり取りだけでした。
そのネットが切断されてしまったのです。これは、ただ単に作家さんと連絡がつかないだけでなく、仕上がったデータそのものが作家さんのもとへ送れない、という事でもあります。
どんなに時間をかけて描いた背景も送れなければ一円にもなりません。作家さんとしてもせっかく仕事を頼んだのにデータが送られてこなかったら青ざめるでしょう。そんなに余裕持って仕事している作家さんはいないですからね。一分一秒を争う時にデータが来ないのでは仕事になりません。
つまりはアシスタントとしての信頼にも傷がつくという事です。ただでさえ「ちゃんとやってくれるだろう」というあいまいな関係でつながってる状態ですから、それが崩れればそれだけでもう雇ってもらえなくなる場合もあるわけです。
慌てて再起動しましたがダメ。結局モデムにつないでるケーブルを外してつなぎ直す方法で一時的には直りましたが、またすぐ切れるなど非常に不安定な状態に。
その時の仕事は何とかつながってる時にデータ送ったりしてやり過ごすことができましたが、もちろんそのままにしておくわけにはいきません。
なんとか次の仕事日までに復旧させておかないと仕事になりませんからね。アナログアシならこんな心配は一切なかったんですがデジタルアシになってこんな落とし穴があるとは思ってもみませんでした。
とりあえずケーブルが切れてるのかと思い新しく買い替えてみましたが不安定さは変わらず。色々調べた結果、モデムが寿命なのではという結論に達しました。
となるとネットを契約してる会社に電話して交換してもらうしかありません。しかし電話しても作業員の方が来てくれるのは2,3日あとになるとのこと。まだ仕事日には間がありますがネットが不安定で、しかもモデム交換したからと言って直るかどうかわからない。あの時は本当に不安でしたね。
ともかく3日後、ネット会社の人が来て無事にモデム交換してもらいました。
そしてやっとネットも繋がり、😥これで一安心と、胸をなでおろしたのもつかの間・・
なんと今度は パソコン本体がフリーズして固まったまま動かなくなってしまったのです‥。
ここからまたひと悶着あるのですが‥長くなるので次の回に回します。すみません。
(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。
コメント