アシとして初めての徹夜 イメージの違いとは? 漫画アシスタント体験記第10話

asist3 漫画アシスタント体験記

 

徹夜には自信あったのに・・

 

はじめの方に書いたように、私はアシスタントを始める前は肉体労働系のバイトをしていました。その仕事は結構深夜仕事も多く徹夜になることもしばしばありました。

私も何度も徹夜を経験し、大変ではあったけどそんなに辛いと思ったことはなく、徹夜というものに対してそれほど抵抗はありませんでした。なのでこの漫画仕事での徹夜にも「なんとかなるだろう」とあまり心配はしてませんでした。

実際仕事をしていても自分自身のあまりの不甲斐なさに愕然とし、なんとか他の皆さんについていこうと必死だったせいか眠気を感じる暇もなく神経は高ぶったままでした。

しかしやはり夜中を過ぎ、明け方近くになると(実際徹夜を経験した方ならわかると思いますが、真夜中よりもどっちかというと明け方の方がキツイですよね)、やってきました、強烈な睡魔が。

これがまた肉体労働の時の辛さと違うんですよね・・肉体労働の時はなんといっても体を動かしているわけですから、いい具合いの体操にもなるし、体を動かし刺激することで眠気を散らせることもできるんですが・・。

漫画仕事の場合、動かすのは頭と腕、しかも私が任されていたのは頭を使う必要のない雑用と仕上げ。体を動かすのはせいぜいトーンを貼るために整理してあるトーン棚から欲しいトーンを持ってくるため机から少し離れるくらい。あとはずっと机にかじりつきっぱなし。これはねえ・・ツライんすよ(笑。

顔でもひっぱたいて眠気を飛ばしたいとこですが、すぐ周りにみなさんがいるためそれもできない。出来たとしても仕事中に何度もできるもんじゃないですからね。仕事してる最中に前にいるヤツが何度も何度も自分の顔ひっぱたいてたらおかしいでしょう(笑。せいぜいできることは頭を大きく振ることくらい。

あとはよく言われるのはペンで体を刺す(笑 でもこれも大した刺激にはなりません。一瞬チクッとしたからといってそれで眠気がなくなるわけではありませんからね。

そんなわけで眠気を散らすこともできず、しかも眠気を我慢しながらなので仕事もロクに進みません。

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業を煮やす作家様

 

他の方々はさすが慣れてているのか、眠気があっても散らし方を知っているのか、それでも黙々と作業を進めます。(これも自分には合わないのかも・・多少会話でもしてれば眠気もなくなったかもしれませんが、時間も遅くしかも原稿の進み具合も良くなかったせいで(自分のせい?)あまり会話らしい会話はなく、あるのは作業の指示くらいであとはほぼ無言で作業が進んでいました。

まあアシ仕事も長くなるとわかりますが、ずっと同じ職場で仕事をしていれば会話なんて限られてくるんですよね・・。特にものすごい事件があるわけでもなし、付き合いも長ければ話題もなくなります。

そんな時に重宝されるのが新人アシなんです。なんせ彼らにとっても「新しい風」なわけですから。必要以上に個人情報を根掘り葉掘り聞いてくる人もいます。

ただこの時の自分はそれに付き合ってると仕事が遅くなるというのがバレてましたから、他のアシさんも作家さんに気を使ってか、ある程度まで聞いたらあとはあまり話してもくれなくなりました。

そのうち眠気もピークになり、ペンやカッターを握ったままウトウト、しばらくしてハッと目が覚めるなんてことを繰り返していました。

そんな私を見て業を煮やしたのか、作家先生に

「○○さん、向こうの部屋で1時間ほど寝てきてください。今の状態のままやられても効率悪いですから。」

と言われてしまいました。

そこで私も「いや大丈夫です」と言えればよかったんですが・・。もう有無を言わさぬ雰囲気が作家先生から漂っていたため、私は自分の仕事を途中で残したまま隣の部屋で仮眠を取ることになってしまいました。

(これは私のためだったのか・・ひょっとしたら私がいるよりいない方が効率が上がると判断してのことだったのか・・今となってはわかりませんが、この事態もまた自分の情けなさに拍車をかけることになったのは言うまでもありません。)

徹夜追い込みの、一人でも力が必要な時に「いいからお前は寝てろ」と言われるわけですから・・。しかしこの時の私はそれに逆らう気力も権利も技術もなく、ただただ「申し訳ない」という気持ちを抱えたまま、必死で仕事を続けるセンパイ方を尻目に隣の部屋で仮眠を取ることになったのです・・。

 

ちなみにみなさんが現場で眠くてどうしようもなくなった時は素直に「少し体操させてください」とか「顔洗ってきていいですか」など申告した上で自分で対処してください。本当にどうしようもなくなった時は「仮眠させてもらえますか」というのもひとつの手でしょう。

あまり自分からは言いにくいかもしれませんがやはり効率が悪くなるよりはと認めてくれる作家さんもいます。あくまで最後の手段ですがね。

徹夜に関しては強い人弱い人いるので難しいんですよね・・練習して強くなるわけでもないし・・。別の記事で自分なりのアドバイスを書いたつもりなのでそちらも読んでください。。

 

つづく

(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。)

 

プロ現場での追い込み、作業を終えての感想とは?アシスタント体験記 第11話

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