アクの強い人たちとの付き合い方とは?アシスタント体験記 第27話

アシ 漫画アシスタント体験記

前回の続きです。

 

一触即発の険悪ムード・・

 

「トーンの片付け方が気に入らない」という素晴らしい理由で始まったKさんとMさんのケンカ。仕事場の空気は一気に険悪に。

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この時が、締め切り前の追い込みとかならそんな風にはならなかったかもしれません。まだ今週分の仕事が始まったばかりという状況もKさんの苛立ちを増幅させたようでした。

「まだ余裕のある今の段階でどうしてきちんとできないのか」

とにかく、明らかにKさんの言い分に分があるのでMさんは防戦一方。喧嘩というかほとんどKさんによるMさんに対する「説教」のようなもの。

それがまたMさんのプライドをいたく傷つけたようで、素直に謝ればいいのに「ん・・まあまあ」とか「あいあい」とか曖昧な対応。

挙句に

「じゃあオレは今後一切トーン触らんようにしよっかな。触らなければ片す必要もないし。もともと単純なベタ貼りなぞオレがするような仕事じゃないわな」

などと、まるで居直ったような態度。とにかくこのMさんという人は、そんなところに変なプライド持たなくてもというくらい人に下手に出るのを嫌がる人。まして相手が年下ともなれば、とにかく自分が一番上でありたがる、ちょっと厄介な人なのです。

もちろん何度も言いますが悪い人ではありません。普通にしてれば普通の人です。ただ少し目立つビジュアルと(笑)、打ち解けた相手には必ず「上から」目線になるという意味で厄介な人なのです。

居直るようなMさんの態度にさらに頭に血が昇ったKさん、

 

「てめえ、表出ろ!」

 

ついにブチギレ。事態は最悪の方向へ・・。 流石にほっておけなくなった作家さんが自分の部屋から飛び出し職場は一気に緊張感がピークに。夜とはいえ周りに住人がたくさん住んでる住宅街でいきなり「殴り合い」の可能性も・・。

ただでさえマンガ家はアパートを借りるのもなかなか信用がないのに、さらにこういう問題が起こればますます評判悪くなって下手すると退去も迫られるんじゃ・・と余計なこと考えながら、お互いの気を沈めようと我々も作業放り出して収拾を図ろうとしていました。

特に私はMさんとは他の人より付き合いも長くいろいろ言える間柄にはなっていたので「まあまあMさん、今回はあんたが悪いんだからちゃんと謝りましょうよ」と一応促してみるが聞く耳持たず。もはや完全に意固地になってしまってKさんが詰め寄っても無視して作業続ける始末。

ついに堪忍袋の緒が切れたKさんがMさんの胸ぐらをまさに今掴み、殴りかかろうとした矢先のことでした。

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「ピンポ~ン」

 

玄関のベルが突如鳴り、作家さんが応対する間もなくカギが開いていた玄関を開けて入ってくる一人の泥酔した女性・・。

作家のOさんが当時付き合っていた「彼女」が連絡もなく上がり込んできたのでした。

「イエ~イ!あれ?まだ仕事してたのお?もうとっくに終わったかとおもててたああ」

Oさん「ま、まだ終わってないよ、な、何だよ連絡もなしに・・」

「いや今日うちの会社の送別会でさ、飲んじゃって家帰るの遠くてメンドーになっちゃって。泊めてもらおーと思ってええ」

 

私も彼女さんとは一応面識はありましたが、明らかに泥酔した様子では初めて、ましてやこの緊迫した状況の中でのふい打ちに誰もが面食らったまま。

そのうち彼女が倒れこむようにして「ヤバ・・吐きそう」とか言い出したもんだから大変。OさんもKさんも喧嘩そっちのけで介抱に専念。

洗面所では今度は、酔っ払った彼女が作家さんへ「最近まともに会えない」「約束をすぐ破る」とグチ三昧。すったもんだの挙句寝室へ連れて行き結局そのまま爆睡・・・。

部屋から出てきたOさんのやつれた顔といったら(笑)

 

何とも言えないその空気に全員が呆れ顔&爆笑。

一気にそれまでの緊張感がほどけ、アホらしくなった我々。Oさん「さ!仕事しよ!仕事!」の掛け声で皆我に返り、何事もなく作業に取り掛かったのでした。

あとでKさんに聞いた話では、その後二人きりの時にMさんちゃんと謝罪したそう。みんなのいるところでは恥ずかしくて素直に謝ることができなかったそうで(子供か)。

 

その後はMさんもトーンをきちんと片付けるようになりましたとさ(笑)(笑)

 

いろんな人がいます。中には嫌な奴も・・

 

ただでさえ「我」の強い人間たちがひとつ屋根の下、一日中顔を突き合わせて仕事するわけですからそりゃいろいろあります。仲のいい人だってずっと一緒だと嫌な面も見えたりする。

よく「嫌いな人との付き合い方」なんてのが本やネットに載ってたりしますがあんなの気休め。

1 相手にしない

2 相手の長所を探す

3 自分を振り返る 自分だって完璧じゃない

 

んなこといくら考えたところでキツいものはキツイ。無視したくても毎日合う人だとそうもいかない。

ただ普通の会社などでの「上司」と「部下」の関係とは違うので、その分楽といえば楽です。とにかく一番は「仕事ができる人間になる」こと。どこかで書いたかもしれませんがこれがまず一番。

小言を言われないようにするためにはまずこれ。あと自分がMさんに対してやったのは何を言われても「Mさんの意見としていいんじゃないですか。僕の意見とは違うけど」ということで一切議論はしない。あくまであなたはあなた。僕は僕。意見を合わせる必要はない。これを貫きました。

随分楽になったもんです(笑)。

 

人間関係でのつまづきなんてどこへ行ってもあるものですが、ただでさえ辛いアシ生活。

少しでも楽しく過ごせるように自分なりの工夫も必要、ということですね。

つづく

(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。)

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