漫画の「パース」の考え方 基本を知れば応用もできます!私個人のやり方も紹介。

f 所見

 

ここからはアナログで背景を描くときの実践的な解説です。基本をマスターズすればいろんな背景に応用できますので、描き起こしの背景を描くときの参考にしてください。

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パースの知識と基本

 

そもそもパースとは、建物などの構造を透視図法などを使って表したものです。建物が存在する場合 見る角度や距離によって見え方が変わる。そこにはきちんとした法則があって、それを無視してはモノが存在してるように見えないので、しっかり把握することが大事。

一点パース   四角い箱を真正面から見たとき、それを構成している線は遠くに行くに従って一つの点に向かって収束します。その点が「消失点」です。

パース

二点パース  四角い箱を斜めから見た時、見える面は二つ。その面を構成している線が二方向に存在し、それぞれに消失点がある図のことです。

パース3

 

 

 

三点パース  さらに加えて高さを表現した線です。だいたい世の中に存在するものは全てこの三点パースによって存在しています。だからこれを「三次元」と呼ぶのです。

パース4

 

アイレベル

 

消失点を決めるときに重要になってくるのがこの「アイレベル」というヤツです。これは文字通り「目線の高さ」を表すものですが、わかりにくい場合は要するに「カメラアングル」と考えればいいです。漫画のコマははいわゆる映画やドラマで言う「カメラから見えるもの」ですから、その構図がどこから撮られているかを表したものが「アイレベル」です。

パース5

 

「水平線」と「アイレベル」は時折混同されます。ほとんど同じものですが厳密には違うものと考えてください。

一点パースの場合その消失点がある線が「アイレベル」です。このアイレベルが上に上がれば「俯瞰」の背景になり、下に下がれば「アオリ」の背景になります。

パース7

俯瞰

パース6

アオリ

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同じ地面に立っている場合 水平線の位置は変わらない

 

例えば正面から人を見て、水平線がその体のどこかに接している場合、その人間がどの位置に行っても接する場所は変わらないという法則があります。これを分かっていればたとえコマ内に全部の体を描いてなくてもきちんと「同じ地面に立っている」表現ができます。

パース8

逆にキャラの立ち位置からパースを割り出すこともできます。 私がお世話になった作家さんで キャラの立ち位置が結構自由な(笑)方がいました。私がそこから判断してきちんとパースをとって描くと、「おお!ほんとに同じ地面に立ってるように見える!」なんて言われたことがあります。

きちんと基本を知ってればいろんなところで役に立つのです。

 

距離感がわからないとき

 

幅と奥行きが同じ建物を描く時 特にパースがキツイ時などは幅の距離感がわからない場合があります。私も新人の頃今ひとつ理解できず、戸惑った経験があります。そんな時私が撮った方法です。一つのやり方として覚えて頂ければいいです。

パース9

図のように、AとBの長さが同じ建物を描く場合、極端なパースがつくとAの線に対してBの線をどれくらい長く引けばいいのかわからない場合があります。その場合

パース10

このように内側にも線を引くと大体の長さがわかります。あとは

ぱーす11

こんな感じで同じ人数の人間をアタリでいいので描いてみるのです。それをパースによって動かすことで大体の距離が掴めます。厳密にこうでなくてはならないというわけではありません。私独自のやり方ですし、感覚の問題ですからある程度掴めればやらなくてもいいです。

あと背景を描くときに大切なことは、例えば建物などを描くとき、そのコマの「枠内」だけで捉えないことです。当然のことながらその建物にはコマ枠の外にも線があり、空間があります。枠の中だけの狭い空間だけで考えてると距離や大きさがわかりにくい場合があるので、意識を枠外まで広げて大きな視野で描くことが大切です。

 

背景は当然ながら「存在するもの」を描くわけです。ファンタジー漫画であってもよほど変わった漫画でない限り基本のパースを利用して描かれています。一定の法則を理解して いかにも「そこに存在してるように見せる」ことが、いい背景を描くときに最も考えなければならない重要なファクターなのです。

 

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