この仕事場は全員が男というのもあり、なおかつみんなそこでずっと仕事をしてきた人たちらしくチーム的な結束感がありました。
そして始まったのがやはり私への質問コーナー・・(笑。 なんせ新しいアシスタントが久しぶりというのもあってかみなさんやたらテンションが高く、好きな漫画、好きなアニメ、好きな映画・・どうやってここに来ることになったか どういう印象を持ったか・・ひとつ聞いては盛り上がり、ふたつ聞いては盛り上がり・・なかなかに愉快な仕事場でした。
ただ私はやはり前の仕事場のこともあってか、ただ楽しいだけじゃなく仕事の面でついていけるのかどうか そればかりが心配で、心から楽しむことはできませんでした。
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まずは基本を
この仕事場が私にとってラッキーだったのはその雰囲気だけでなく、新連載の立ち上げ前の背景仕事で、その物語に出てくる場所や背景、小物などの設定の段階だったことです。学校や主人公の家、周辺の街景など いろんな角度でたくさん描き、必要に応じてそれをコピーして原稿に貼るのです。
つまりまだお話は始まっておらずその準備段階だったため仕事にも余裕があったわけです。だから私みたいなド素人にも一から教える時間がまだあったんですね。もうすでに走り始めていた前の仕事場とは違い、まだ作家さんにも他のアシスタントさんたちにも、精神的、肉体的余裕が感じられました。
結果私が最初やらされたのはひたすら「綺麗な直線を弾く練習」 。真っ白な原稿用紙を渡されそこに上から 細く、均一な太さ、均一な間隔で直線を引く。ただそれだけ。
しかしこれが結構難しい。 まさに「基本中の基本。」しかししっかりマスターしなければ応用もできない。それを、矢継ぎ早に飛んでくる質問に応対しながら(笑 半日ほど、そしてそのあとは「抜き線」(フリーハンドで引く、線の先が綺麗に抜けている線)の練習を半日。
みなさんが次々と背景を仕上げる中、ただひたすら地道に「線の練習」を続ける私。
しかし今考えればこれがすごく勉強になったし この時の練習が今に効いてると思っています。独学でやっていてもあまりに地道な作業は精神的にも辛く続かない。
しかし周りにプロの先輩たちがいてそこで質問しながら練習が出来るのは本当にラッキーでした。しかもそれでお給料がもらえるのですからこんなありがたいことはない。
私はこの仕事を始めて1ヶ月ちょっとで、プロの厳しさと大変さ、そしてありがたさをたくさん経験させてもらい、この二つの現場の方々には今でも感謝しています。(ホントですよ(笑。)
つづく
(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。)
個性豊かな連中に囲まれ日々猛特訓! 漫画アシスタント体験記 第17話
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