トーン技術
アナログの現場では欠かすことのできないテクニック。トーン作業における技術について解説します。
ただ貼って切って削るだけだろ?なんて思ってる人が居るかどうかはわかりませんが当然そんな簡単なものではないです。いやもちろん貼ったり切ったりするのにそこまでのものは必要ないですが、削るという項目においてはやはり専門的な技術がいります。
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トーンの貼り方
基本的には貼りたい部分にある程度余裕を持ってカットし、原稿の上から貼り付ける。そして上から専用のヘラで擦り圧着させる。わけですがこの擦り方にもやり方があります。
Ⓐ
Ⓐの図のようにただ力任せにゴシゴシやるのでは逆にはがれやすくなってあまりよろしくありません。
Ⓑ
Ⓑの図のように中心から外へ向かってゆっくり擦る。イメージとしては中の空気を外に押し出す感覚です。力を入れすぎずむしろゆっくり、まんべんなく圧着させる意識が大事です。
最後仕上げの感覚でゴシゴシやるのはいいですが、下手をすると消しゴムかけのときと同じように原稿をクシャクシャにしてしまう恐れがありますので気をつけましょう。
削りテクニック
さていよいよ削りテクニックの講座です。あくまで基本的な部分を解説します。人によってやりかたもあるので自分なりの方法を見つけて「トーン削り」をマスターしましょう。基本を覚えてしまえばいろいろ応用もできます。
網目を活用する
スクリーントーンはいわゆる細かい網目の集合体です。機械的に等間隔で並び、ひとつの編目の大きさが変わることでグラデーションなどを表現しています。
トーンを削る時はこの「網目」を活用することで美しい削りが表現できるのです。
A
B
この二つの例を見てもわかるように、AとBで明らかに違いがあります。
Aの削り方は網目に沿って削っているため汚く見えます。トーンを削る時はBのように必ず網目の並びを外して削るのが基本です。
外す角度によって削りの形が大きかったり小さかったりして、場面や表現したいものの形状によって使い分けるのです。
グラデーショントーンなどはその角度によって違いが顕著です。綺麗に削れたときは自分でも惚れ惚れするくらい(笑。
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ボカシ削り
雲などを削る時や、何でもないコマを埋めるためにトーンを貼る場合、このボカシ削りを使います。
ペンでかけ編みを描く要領で、網目を意識しながらだんだんと白い部分となじませるように削ります。
トーンフラッシュ
ベタフラをトーンで表現する方法をトーンフラッシュといいます。これも漫画でよく使われるやり方で、ペンの代わりにカッターを定規に当てて削ります。この時使うのは金定規と言ってステンレスなどで出来ているものを使います。
普通使っているプラスチックの定規では、1回や2回ならともかくずっと使ってれば当然ながらカッターで定規が削られてしまい、直線を引こうとしても線が曲がってしまうのです。
作り方はベタフラと同じ要領なのでそちらも参考にしてください。
ただ、線の引き方はベタフラと逆です。ベタフラ中心点に向かって線を引きますがトーンフラッシュは中心点から手前に、ペンで描くようにライン削りをして作ります。
そしてこのトーンフラッシュで、一部分ならともかく円を描かなければならない場合 どうしても網目に沿って削らなければならないところが出てきます。そういう時はその部分を極力小さくすることで目立たなくします。その分綺麗に削れる部分を強調することで迫力を出すのです。
こういうちょっとした事を覚えることであなたの技術は一段高いものになりますよ。
細部を整えて完成です。
以上あくまで基本的な技術ですがいくつか紹介しました。トーン削り自体はさほど難しいものではありませんので、練習あるのみです。
自分なりのテクニックなど開発して、バリエーションを増やしていけばいろんな現場、そして自分の漫画にもきっと応用できるはずですから、頑張ってマスターしましょう。
削り方についてはコチラの記事でも細かく説明してますので、よろしければそちらもどうぞ。
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