密室での仕事における人間関係の難しさ アシスタント体験記 第26話

manga 漫画アシスタント体験記

タイトル絵で誤解されそうですが これは別に私が怒られてる絵ではありません(笑)。

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さて 新たな仕事場 そして自分自身わりと作業にも自信が出てきてアシ生活にも慣れてきました。

そうなるとそれはそれで問題も起こるものです。

 

周りは「主張したがり」ばかり

 

前にも言いましたが漫画家を志す人というのは「自己主張」の強い人が多いです。あくまで個人的な感想ですが。

そんな人間たちがひとつ屋根の下に集まって仕事をするのです。よほど作家さんがしっかり仕事場での規律などを決め、ルールを徹底するよう指導しているところならともかく、仕事さえやってくれればあとは細かいことは言わないという作家さんだとアシスタントの性格によっては作家さんよりも態度のデカイ人とかも出てきたりします。

ましてアシスタントが作家さんより年上、しかも連載経験が有るとなるとむしろ作家さんがそのアシスタントさんに指導を受けるなんてこともしばしばあります。アシスタントがそれでも控えめな性格ならまだいいのでしょうが、「自分が自分が」という性格を持つアシスタントだと、なかなかに厳しいものがあります。

以前からご紹介させていただいてるMさん、以前の仕事場からの私の先輩。もちろん悪い人ではありません。聞けばしっかり教えてくれます。ただまあ・・・ようするに「ドヤ感」が強いんですよねえ(笑)

「仕方ねえから、俺様が教えてやる」感満載。最初はそれでも、実際こっちは「できない子」だったわけだし、彼は「できる人」だったわけでまあ普通に教わっていましたが、こっちがある程度できるようになると・・けっこう「ウザイ」(笑)。

 

本人もどこか「教えたがり」の気があるのか、こっちがある程度できるようになり教えることがなくなったのがちょっと不満そう(笑)。なにかといえば「調子はどうだ?」「それ・・できるか?」と確認してくる。

私が「大丈夫です」というと「ふーん・・」と興味ないフリしてるけど明らかにつまらなそうにしてる。そして別のアシスタントになにか教えることはないか聞きまくる。まあ世話焼きであることは確かで、それ自体は悪いことではないんですが、たまにならいいんですけど一日何回もだとさすがにね・・。

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そしてもうひとり、今回の主人公(笑)、作家さんと古くからの友人のKさん。この人はなんというか、性格的には真面目というかちょっと固い、頑固な面のある人。この人も悪い人ではないけれど、とにかく自分ルールがしっかりしててそれに合わないことがあるとけっこう強い「怒り」の表現をすることがある。

作家さんと同い年だけど彼は作家さんを呼び捨て、作家さんは彼を「ちゃん付け」で呼び、相談なども良くしている関係。

まあベクトルは違うが要するに二人共「我」の強い人物である、ということ。もう一つ共通してること、それは「理屈好き」。

しかもお互いかなり偏見に近い意見を持ってたりする。

そんなふたりが同じ部屋で仕事をしてるのですから問題起こらないほうがおかしい。

 

険悪なムード・・でも同じ部屋にいるのは私だけ

 

この仕事場の位置関係を説明すると、間取りは2DKのアパート。割と広めのキッチンに和室が二つ。奥の和室に作家さん、隣の和室に若いアシ二人、キッチンに私とMさんとKさんの三人。ドアは開いてはいるが少し他の部屋の人からは離れてる状態。

そこで始まるのが二人の理屈大会

他の人はあまり仕事中ペチャクチャ喋るタイプではなく、私も基本しゃべるのは好きだが作業中は口が動くと手がおろそかになるタイプなので積極的に喋る方ではない。しかしこのMさんとKさん、メチャクチャ喋るタイプ。相手が聞いてようといまいとおかまいなし。

いちおうBGMとしてラジオをかけて作業してるのだけど、その番組の中での話題に対して、ああでもないこうでもないとしゃべりっぱなし。いちおうそれでもKさんはMさんより年下なので、意見を言うことはあっても割と気を使って最後は折れてあげてる感じでした。

Mさんがそのことをわかるタイプなら良かったのですが・・。ご本人は最後にKさんが仕方なく折れたことに対して「論破した」感満載のまたドヤ顔(笑)。たまにMさんが休みの日に、Mさんに対するKさんの愚痴に付き合わされる、という日々が続いていました。

そんなある日・・そのKさんの我慢も限界に来た日がありました

ただその理由はほんとショーもないもの・・。当時アナログで仕事をしていたため「スクリーントーン」も手貼りの時代。専用のトーン棚があって、そこから欲しいトーンを取り出して使っていたのですが、Mさんのトーンの片付け方にKさんがキレました。

Mさんは意外とずぼらな人。所定の位置にトーンをきちんとしまわない人でした。しかしKさんはそういうことが許せない几帳面なタイプ。実はそれ以前にも何度か所定の位置にしまわないMさんに注意をしていたのですが、Mさんは自分が最年長でベテランなせいか「ああわかったわかった」というだけでなかなかいうことを聞かない。

ついに我慢の限界を超えたKさん

「てめえいいかげんにしろよ!」

仕事場に響き渡る声でMさんに詰め寄りました。

しかしそんな時でもMさんは平静を装うフリであまり真面目に取り合おうとせず。(内心かなりビビってたと思う笑)そんな態度が更にKさんを怒らせ収集のつかない状況に。どっちかといえばKさんの方がそういうトラブルに慣れてる様子。いわゆるケンカ慣れというか。Mさんの方が(別に何でもないよ)という態度を取るのに必死な印象。いるでしょそういう人。

部屋の離れてる作家さんや他のアシは聞こえてるだろうに静観の構え。同じ部屋にいる私だけが突然の嵐に見舞われた小舟のように(笑)、為すすべもなく事態を見守っていました・・。

 

長くなるので続きます。

 

しばらくお休みいただきましたがそろそろ再開します。完全に治ったわけではありませんがあまり間を開けすぎるのもよくないので・・今後ともまた宜しくお願い致します。

 

つづく

(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。)

アクの強い人たちとの付き合い方とは?アシスタント体験記 第27話

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