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出版社の小学館が、書店で漫画を立ち読みできないようにするフィルム包装(シュリンクパック)の取りやめを呼びかけ始めた。名付けて「コミックス脱シュリンクパックプロジェクト」。この春、一部の書店で包装をやめたところ、少女・女性向け漫画で売り上げが20%増えたため、今後拡大する方針だという。
少年・少女漫画、立ち読み可能にしたら売り上げ増(朝日新聞デジタル)
書店の漫画コーナーに行くと、当然ながら棚には無数の漫画単行本が立ち並んでいます。しかし、そのほとんどすべてが「シュリンクパック包装」という形で梱包され、手に取ることはできても中身を確認することはできません。
しかし大手出版社の「小学館」さんが、単行本からその「シュリンクパック」を外し、一冊を買う前に丸ごと読めるようにしてもかまわないと全国の書店に呼びかけました。そうすることで売り上げになにか変化があるかどうかを実験で確かめるのが目的です。
今年3月から5月にかけ「闇金ウシジマくん」「MAJOR 2nd」など、単行本35作品の1巻と最新巻を、包装せずに店頭に並べたところ少女・女性向け漫画では、包装をかける一般書店に比べ、売り上げが20%増えたそうです。
少年・青年向け漫画では売り上げに顕著な変化はなかったそうですが、店員さん向けのアンケートでは好評だったようで、小学館はさらに他の書店への拡大を検討するという話です。
漫画単行本完全梱包の是非について
シュリンクパック包装とは?
「シュリンク」とは英語で「収縮」とか「縮小」の事。 ビニールを熱加工して縮小し、本にぴっちり合うように包装することを「シュリンク包装」と言います。
約30年前から「立ち読み防止」「汚れ・破損防止」を目的に全国の書店で導入され、以降「街の本屋」で、マンガの立ち読みが一切できなくなりました。それ自体はいいことなんでしょう。本来の目的は達成されたはずです。
私も遠い記憶ですがかなーり昔はまだ漫画が立ち読みできる状況で、本屋に子供がたむろして漫画を読むという光景がありました。下手をすると座り込んで読む子供もいたりして本屋さんにしてみれば迷惑だったことでしょう。
しかしすぐこの「シュリンク包装」が施されるようになり本屋でマンガを立ち読みする客はピタリといなくなりました。そして同時に立ち読みされることによって本が汚れたり破損したりすることなく、購入者は安心して新品を手にすることができるようになりました。
(コンビニなどで雑誌を買う時、わざと一番前にあるやつを避けて後ろか下に置いてある新しそうなものを買ったりしましたよね?昔は単行本でもそうやって上にあるものは避けてた時代がありました。)
しかしその結果、マンガの単行本が置いてある棚の周りは閑散としてしまい、大きな本屋でも人が立ち寄らないスペースになってしまいました。
そうなるともう、よほどなじみの作家さんの新刊本を買うとか、明確な目的がないと単行本が買われなくなったのも事実です。やはりマンガ好きの自分からしても、本屋へ行って目的の本は買うにしても、どっかで「新しい出会い」みたいのを探してる部分もあります。
実際、雑誌や週刊誌などは中身を見て買うこともありますし、表紙だけで買うのはかなりのギャンブル性があって、損する可能性を考えると結局買わない、というのが消費者の心理です。
漫画家さんとしても手に取ってもらってなんぼの世界だし、しかも平積みにでもなってなければ表紙自体を見てもらう機会も少ない。全部とはいかないが多少中身や世界観を気に入ってもらって売り上げにつなげたいというのが本音。
その意味でも私は、昔から化粧品でいう「テスター」のように、一冊くらいは包装しないで読んでもらう専用の本があってもいいんじゃないかなーと思ってました。このニュースが出て以来、いろんな人の反応見てるとやはり似たような感想持ってる人が多いようですね。
それにしても一冊だけでなく、丸ごとOKにするとは結構な冒険です。
それで売り上げが上がるなら本屋さんとしても作家さんとしても歓迎すべきことで、この先また包装なしの単行本が売られる時が来るかもしれないですね。
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心配なのは万引き・・しかも包装なしで危惧されるのは「デジタル万引き」の横行か
漫画の単行本が梱包されるようになって、「破損」や「立ち読み」の心配はなくなりましたが、相変わらず本屋さんを悩ませてるのが「万引き」。
最近は手口も巧妙になり、しかも自分で楽しむというよりまとめて盗んで転売するのが目的と、かなり悪質化しています。
ただでさえ利益率の低い(約2割)と言われてる書籍を販売してるのにそこで万引きされたら本屋としてはたまったものではないでしょう。最近はブックスリップ(購入前の本に挟んであるバーコードのついたしおり)のセキュリティタグを取り付け、センサーで知らせるという万引き防止策もありますがやはりコストがかかってしまう。
そこへ今度「包装なし」という時代になると心配なのが「デジタル万引き」というヤツ。
デジタル万引きとは?
カメラ付き携帯電話を使って、書籍・雑誌を購入せずに書店やコンビニエンスストアの店頭で雑誌記事等を撮影し情報を入手するいわゆる「デジタル万引き」が発生しており、書店やコンビニエンスストアの売上に影響を与えている。
スマホなどの普及によりカメラを使った犯罪まがいの行為が横行していますが、これもその一つ。ただこのデジタル万引きが厄介なのは、明確な犯罪行為ではないことにあります。
いわゆる万引きに適用される窃盗罪(235条:他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、 10年以下の懲役に処する)は、あくまでその物品自体を盗んだ場合に適用されるため ただ単に写真や動画で撮影するだけなら窃盗にはならない。したがって警察に訴えても逮捕されることはなく、単なる迷惑行為としてせいぜい出入り禁止にできるくらい。
もちろんそれをネットで作者の許可なく公開したり売ったりすれば著作権侵害になるが、あくまで親告罪でありなかなか見つけにくいのが現状。
包装なしで売ってもいいということになれば、この「デジタル万引き」が横行しそうで、それに対する対策もまた必要になりそうですね。
でもまあ,個人的には包装が解かれるのは個人的には賛成です。今まで出会えなかった名作に出会えるチャンスが増えるなら、歓迎したいところではありますね。
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