吉本興業のお笑い芸人、宮迫博之さんと田村亮さんの記者会見が話題になってますね。
初めは宮迫さんたちによる「会社を通さないお仕事」が問題となっていましたが、今回の記者会見によって思わぬ方向へ話が発展していきそうです。
真偽については想像の域を出ず、どっちがどうとか何とも言えないので書きません。
ただ今回の問題によって、「大きな組織に所属することのメリットとデメリット」をまざまざと見せつけられた気がして、胸の中が妙にザワザワしたので少し意見を言いたくて書いてみることにしました。
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組織に所属するメリット
まずは大きな組織に所属するメリットですが、これはやはり「自分一人ではできないことを手助けしてもらえる」という事でしょう。
自分一人では動かすことのできないお金が動いたり、多くの人が動いたりして大きな仕事ができるようになります。それが自分自身のキャリアにつながり、そこで「信用」が生まれます。
人間が一人でできることはたかが知れています。特に社会で生きていくためには「信用」というものが何より大事です。
以前フリーランスがやるべき事の記事でも書きましたが組織や会社に所属してるのとしてないのとでは「世間の見る目」が全く違います。
フリーランスになる前 できれば&必ず「やっておくべき事」スペシャル
その組織が大きければ大きいほどまた信用も大きい。
それだけで「見ず知らずの他人」であっても人格さえ肯定されてしまうほど信用されたりします。
そして芸人さんで言えば、組織に所属しているとまだそんなに有名でないうちから大きな舞台に出してもらえる。有名な番組に出してもらえる。そこで人気が出れば会社に貢献することができる。
会社も、芸人も収入がアップする。
まさに「正」の循環ですね。
では逆にデメリットは何でしょう。
組織に所属するデメリット
「必ずしも自分の思い通りにならない」。
やはりこれですね。
もちろん最初は誰もが新人です。どこの世界でもそうですが「新人」に力などありません。しかし組織に所属して何年もたったからと言ってすべての人が自由にふるまえるわけではありません。
「出世コース」にうまく乗れればある程度自分の望みをかなえることはできるでしょうが、いつまでたってもさほど階級が上がらない人の場合は、いつまでたっても思い通りにはなりません。
そして組織が大きくなればなるほど「少数意見」は通らなくなります。
上からの指示にはまず逆らえません。もし会社の意向に従えない場合「異動」、果ては「退職」という目に合う場合もあります。
では「フリーランス」はどうなのかと言えば、こちらも全く一人で生きているわけでなく、仕事をする場合には「クライアント」という名の「雇用主」がいます。
それは組織である場合も個人の場合もありますがこちらが「雇われている」という状況は同じ。
そういう意味では「組織に所属している場合」も「フリーランス」も「自由のなさ」で言えば似たようなものかもしれません。
もちろんフリーランス側に力があってクライアントから、「ぜひお願いしたい」という「オファー」が来るようになれば違ってきます。ある程度「自分の思い描いた仕事」ができるようになる。
これがフリーランスであることのメリットと言えるかもしれません。ただしもちろん、そこであまりクライアントが望むような結果が出なければそれこそ信用を失うことにもつながります。いわば「諸刃の剣」です。
会社員なら何か仕事でミスをした時でも「組織」がカバーしてくれる場合があります。しかしフリーランスはそうはいきません。これがデメリットでもあります。
そしてもう一つフリーランスのデメリットと言えば「何かあった時のセーフティネット」という部分での、組織に所属している人との扱いの差に「天と地」ほどの違いがあることですね。
保険などの目に見える形での福利厚生の面でも明らかに違いがある。
そこには「立場」の弱さというものが大いに影響していると思います。
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なぜフリーランスはこんなにも立場が弱いのか
以前「派遣切り」などが社会問題化した時に、いわゆる「非正規雇用」の立場の弱さが改めて浮き彫りになりました。
契約書を交わし就業の期限が決められていても、会社の業績、景気の浮き沈みによってあっさりその契約は無効にされ、何の保証もなく放り出されてしまう。
今回の宮迫さんたちの会見を見てて「芸人」の世界もいわゆる「立場の弱いフリーランス」と同じなんだなと改めて思い知らされました。
彼らは確かに「吉本興業」という会社に所属はしていますが、立場的には「個人事業主」として「吉本」と契約しているだけで何の社会的保証もありません。
もちろん雇用保険などないでしょう。そして今回のことで最も驚いたのが「吉本」には「契約書」そのものが存在しないという事実です。
口約束だけで、文書での契約・ギャラ交渉なども何もないとのことです。いやそれでよく今までやってきたなという印象です。
諾成契約(だくせいけいやく)と言って、法律上は有効なようです。
ちなみにマンガ家には一応執筆する際に出版社とかわす契約書が存在します。
そういう意味で、宮迫さんほど有名で力のある芸人さんでも「吉本興業」という大きな組織の前ではあんなにもあっさり切られてしまうほど「立場の弱い」人たちだったんだなと。正直驚きました。
でも逆に言えばこれが普通なのかもしれませんけどね。立場の違いで不公平が生じる方がおかしいですから。「有名だから」「お金持ちだから」許されるなんて言う社会の方が間違ってますからね。
でもまあ宮迫さんほどの人なら、「吉本」を辞めたとしてもお笑い芸能事務所は他にもあるので移籍は可能でしょう。芸人は辞めないそうですしね。
いやむしろどこにも属さず自分で個人事務所を作って活動してもいいですし、いくらでもやり方はあるでしょう。それこそ「大きな組織」を離れることによって「自由」を手にすることができますし結果的には「離れて良かった」となるかもしれません。
結局この記事で僕が何が言いたいかと言うと、
「組織に所属するにしてもフリーランスになるにしても、代わりのいない人間になれ」。
ってことです。
代わりのいない宮迫さんだからこそ「組織」を離れても十分やっていけるのです。前述した「派遣切り」の被害に遭った方々には残念ながらそれがなかった。
なぜフリーランスはこんなにも立場が弱いのか
その答えは「代わりはいくらでもいる」からです。
「誰でもいい」仕事をしているうちは組織にいようがフリーになろうが立場の弱さに変わりはありません。
技能を磨くなり知識を増やすなり、自分にしか与えられない価値を与えられる人間になること。
これが一番大事だなと。改めて思った、今日この頃です。
それは最初に書いたメリットデメリットの話で言えば「フリーランスであることのメリット」としてあげられる「自分の思い通りの仕事ができる」という「バラ色の未来」へと通じる道だと信じるからです。
ちなみに今回の記者会見を受けて、彼らの先輩である「松本人志」さんがコメントを出し、会社に意見をしたことを公表しました。
松本「芸人あっての会社やろ。芸人ファーストであるべき。」
と、今回の会社側の宮迫さんたちに対する処遇がいかに理不尽であるかという事を会社に訴えたというのです。
しかし、僕はあえてこの意見には異論を唱えたいと思います。
この問題は「どちらかファースト」の問題ではないと思うからです。いやむしろ「どちらかファースト」がエスカレートした結果生じたトラブルであり、逆に「芸人ファーストがエスカレートすればそれはそれで「あぐらをかく」芸人が出てこないとは言えない。
会社と芸人はどっちもどっち、車の両輪です。どちらが欠けても車は走らない。
これは漫画家と出版社、フリーランスとクライアントにも言える話だと思います。
ただし本当の意味でフィフティフィフティになるためには、それなりの価値を相手に提供し
「この人にしか頼めない」と言われるような、代わりのいない人間になるしかない。
がんばりましょう、みなさん。
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