こんにちは、毎日涼しくて、7月の電気代が安くなりそうなことに小さな幸せを見つけているOYUKIHANです。
久しぶりに漫画の話題です(笑)
今や日本独特のカルチャーとなり世界的にも大人気の日本の漫画。皆さんにとっても実に身近で、今は読んでないという人でも子供のころなど、夢中で読んだマンガなどがあったりするのではないでしょうか。
さてそんな身近なマンガですが、意外にその業界の中の事に関してはあまり知られてはいないのではないでしょうか。
私は一応業界の中で長年過ごしてきたこともあり、いろいろ経験したり見聞きしたりしたこともありますので、この世界の事を知らない人たちからいろんな質問受けました。
今日はその質問などを紹介しながら、あまり知られてない「マンガ業界」の中身、まことしやかにささやかれている「噂話の真偽」について私が知ってる範囲で答えていきたいと思います。
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印税ってなに?
まず聞かれる質問がこれですね。
『夢の印税生活!』なんて言われてるけど縁のない人からするとさっぱりわからないと。
「税」なんて言葉がついてるからか「何で税金払うのに夢の生活なんだ?」と誤解してる人も多いようです。
この「印税」という言葉ですが、別に税金の名前ではなく、正式な言い方でもありません。「通称」というか、昔からの名残りでそう言ってるだけなのです。
この「印税」という言葉をわかりやすく言い換えると『著作権使用料(ロイヤリティ)』になります。
漫画でも小説でも音楽でも、作品を発表した人には全員『著作権』があります。出版社やレコード会社が作品を販売する時に、作者に「著作権使用料」を支払うのです。
昔は著者検印紙と言って「作者の印鑑」が押してある紙が、発行した書籍一冊につき一枚ずつ貼ってあったのです。「これは私の作品ですよ」という証明書のようなものですね。
そのさまが、特定の印紙を貼り付けて収める「印紙税」と似ているところからもじって「印税」と言われただけなのです。
言ってみれば「印税」は「著作権使用料」のニックネームみたいなもんです(笑)。
ちなみに通常漫画の印税は定価の5%~10%と言われています。以前は「発行部数」によって支払われていましたが最近では「売上」に応じて支払われるようになっています。
発行しても売れなくて「返品の山」になってしまうと出版社は損するだけですからね。
例えば500円の本を5000部売って印税が5%なら
500×5000×5%=125000円が作者の取り分となります。
ただしそこからさらに「源泉所得税」として本物の「税金」が引かれます(笑)
印税と原稿料の違いは?新人やベテラン作家でどれくらい違うの?
書籍の売り上げによって得られる「著作権料」が「印税」なら「原稿料」は単純に「原稿を描いた」という「労働」に対する対価です。
枚数計算やページ計算で支払われます。枚数計算は文字数に応じて支払われるもの。小説やエッセイ、コラムなどですね。400字詰め原稿用紙何枚分とかで支払われます。
漫画の場合はページ計算です。
読み切り掲載や連載したばかりの新人は当然原稿料も安いです。
小さな出版社でだいたい1ページ5000円、大手だと8000円くらい。バブルの頃は新人でもよほど期待されていれば1ページ1万円支払われたこともあったそうですが最近はまずそんなことはありません。
逆にベテラン、そして売れっ子漫画家となれば当然高いです。1万5千円や2万円、もっと高い作家さんもいます。
印税や原稿料の契約は作家と出版社サイドの話し合いで決められます。
ですがやはり漫画家はあまりそういうことには詳しくない人が多いのであとで揉めるなんてこともよくありますね。
最近は最初から会計士さんなどに頼んでしっかりやってる作家さんも増えました。
あと原稿料や印税の他に「契約金」として一定のお金を支払う場合もあります。
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雑誌の専属契約とは?
「○○先生の漫画が読めるのは少年ジャンプだけ!」という謳い文句見たことありませんか。
漫画家が他の雑誌で連載したりしないよう専属契約」としてあらかじめ期間と金額を決めて「契約金」というお金を渡す場合があります。プロ野球選手などでよく言う「年棒」みたいなものです。
この契約金制度は歴史が古く、少年ジャンプの創刊当時までさかのぼります。
当時は漫画家の数も少なく、売れっ子作家は引く手あまた。出版社同士で漫画家の「引き抜き競争」が激化していました。
その流れを止めるため、当時ジャンプの編集長だった「長野規氏」が人気上昇中の「本宮ひろ志氏」に対して専属契約を行ったのが始まりと言われています。
一、『少年ジャンプ』編集部は漫画家本宮ひろ志に対し、契約料として原稿料とは別途に、年額240000円を支払います。
一、漫画家本宮ひろ志は、契約期間中、『少年ジャンプ』以外の雑誌と契約期間後の執筆交渉をすることはできません。
引用『さらばわが青春の少年ジャンプ』西村繁雄
ただこの専属契約、よほど売れっ子でないと途中で連載が打ち切られても「契約期間内」なら他の雑誌で描くことができず、「作家の飼い殺し」ではないかとの批判もあります。
とはいえこの制度は作家にとってもメリットはあるのです。特に新人漫画家が連載始める時というのは、意外とお金がかかるものです。「連載貧乏」という言葉があるくらい。
「仕事場」として新しくアパートを借りたり、アシスタントを雇ったりするとそれだけで毎月びっくりするほどお金が出ていきます。新人でそこまで貯金がない場合、あっという間に破産になってしまい、連載どころではありません。
単行本が売れたとしてもそれこそ「印税」が入ってくるのは先の話です。
そういう時にこの「契約金」が救ってくれるわけです。
あと、連載が打ち切られても契約が続いていればそのお金で生活し、次の連載までの生活費に充てることもできるのです。
よく大物作家は「眼だけ描く」とか言われるけどそういうのは本当にあるの?
これもよく言われますね。
大物漫画家さんはキャラクターまでアシスタントに描かせているが「眼」だけは自分で描く。
眼だけはごまかせないからだ!
ていう話・・結論から言えば、「眼だけ描く」作家さんは、僕の知ってる限りでは「いない」のではと思います。いやもちろんすべての作家さんにアンケート取ったわけじゃないし、仮に取ったとしても正直に話すかどうかもわからないので「絶対にいない」と言い切れるわけではありませんが。
目だけ描くんなら描かない、あるいは顔だけは描くという人なら知ってます。誰とは言いませんけど(笑)。
そこそこのベテラン作家、しかも人気作家さんになるとそれまでは自分で描いててもやはりだんだん高齢になってきます。絵柄が変わったり以前のように描けなくなったりして作業効率も落ちます。
でも人気があって辞められない、となると「影武者」的な人を雇ってその人に描かせる場合はあります。
だいたいは勝手知ったるアシスタントが描いたりしますね。
「専属」の影武者を改めて雇う場合もあれば、連載当時から「ここのキャラ描いといて」とアシスタントに頼み、最初は小さいキャラからだんだんと大きいコマのキャラクターも任されるようになって「なし崩し」的に影武者になるパターンもあります。
この経験は僕にもあります。もちろん最初はあまり影響のないモブか準レギュラーなどでしたが。
あと全く描かずにすべてをアシに任せ、自分は原作のみ、あるいはもう原作も関与せず「名前だけ」貸してる作家さんもいます。こちらも誰とは言いませんが(笑)。
そういう人はもうかなりのご高齢で体力的に持たないので仕方ない部分もあります。中にはゴルフに行く体力だけはある方もいますがね・・(笑)。
もちろん高齢になっても自分ですべて描いてる作家さんもいますよ。
僕も大ファンの「ちばてつや」先生なんかは今でも自分で全部描いてますね。
ちなみにちば先生は後進の指導にも熱心です。今でも行われている「ちば先生の名前」が冠になった新人漫画賞などの選考は、順位などは全部ちば先生が決めているそうです。
中にはそれこそ名前だけ貸して、選考は全て編集部任せの作家さんもいます。誰とは言いませんが(もういい(笑))
漫画家にも「コネ」はあるの?
これも意外と聞かれます(笑)。
まあ正直私は使ったことないのでわからないと言えばわかりません。
あるかもしれないと言えばあるかもしれない。こればかりは所詮想像の域を出ません。
ただやはり有名作家さんのところでアシスタントをしてれば自然とアドバイスなども受けるでしょうし、編集さんなんかと顔を合わせる機会も多い。
作品勝負の世界とはいえやはり「知り合い」に対して多少の「情」がわいて裁定が甘くなることは、ないとは言えません。人間同士の事ですから。
僕もそう言う話、聞いた事あるっちゃあります。
あと編集部内でも「力」のある編集さん(人気作品を手掛けた人など)や、ベテランの編集さんに担当についてもらえれば作品が載りやすかったりもします。
ただ何かの力が働いたとしてもそれはそれこそ「新人漫画賞」を取るとか、せいぜい「読み切り」が掲載されるまででしょうね。
連載までそういう「神の力」が働くとは思えません。また仮に働いたとしても実力がなければ化けの皮が剥がれるのは早いです。
やはり当然ながら「ステージの上に上がればそこは実力の世界」です。
まとめ
いかがでしたか。意外と知らない漫画業界の素朴な疑問に答えてみました。
他にも何か「これ知りたい!」というような疑問点があれば、僕の知ってる範囲内で答えていきたいと思いますので、質問なりなんなり寄せていただければと思います。
ではまた。
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