こんにちは、夏も後半戦に入りめっきり涼しくなってきましたね。
とはいえまだエアコンなしでいられるほど気温が低いわけでもなく、ムシムシして汗もかくので水分補給はこまめに行いましょう。
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さて、久しぶりの体験記です。
この頃になると私はそれほど仕事の上で困るようなことはなくなり、自分の作品と並行しながら割と楽しいアシスタント生活を続けていました。
そしてこのあたりくらいからJ・A・C(Japan Assistant Club)さんという、ネットの掲示板で漫画家とアシスタントをマッチングするというサイトが出始め、そこから独自で仕事を得るということもできるようになっていました。
漫画家アシスタントをされている三人の方が立ち上げたサイト。
仕事を求めているアシスタントと、アシスタントを求めている作家さんが掲示板に概要を書き込み、興味があれば直接メールなどでやり取りする。
今では同じようなサイトが他にあったり個人で募集したりしているがこのサイトが走り。今年で開設20年を迎える老舗サイトです。
ただ2019年12月31日をもって現掲示板はサービス終了となる。その後どうなるかはまだ不明。
私も何度かお世話になりました。今回はこのJ・A・Cさんでいただいたお仕事に関するお話です。
アナログ人生だった私が食らった「デジタル仕事」の洗礼
レギュラーの仕事が作家さんの都合で一時的に休載になり、スケジュールがぽっかり空いてしまったことがありました。その月の収入的に不安になった私は、さっそくJ・A・Cさんを頼ろうと求人情報を閲覧し、ある作家さんにコンタクトを取りました。
3日ほどの泊り仕事でスタッフを募集している作家さんで、さっそく「お願いしたい」とのお返事が。
場所は自宅から結構遠いのですが、交通費や食費も作家さん負担なので金銭的な心配はありません。その上ギャラも少し高めで、レギュラーをそのまま続けているより収入が増えるという状況ににんまりとした私は、さっそくお世話になることにしました。
3日間の泊り仕事なのでその分の着替えや休み時間に読む本、軽いおやつなどを買い込んで、個人的にはちょっとした「旅気分」にウキウキしながら、都内から結構離れた埼玉県にある仕事場へ向かいました。(この当時はまだ他の記事にあるような「パニック症状」が出てなくて、電車にも普通に乗れていました。)
現場は閑静な住宅街。
都内のアパートやマンション暮らしの作家さんとは違い、一軒家で仕事をする作家さん。
Oさんとしましょう。
一人で住んでるようですが結構広い家だったので、作業場も10畳ある一部屋を二部屋につなぎ、かなり贅沢な使い方をしていましたね。今まではアシスタント同士で机を隣り合わせるくらいの狭さで縮こまって作業するのが普通でしたが、ここでは全くそんな心配もなく。
逆に広すぎてOさんを呼ぶにも少し声を上げなければならないような、珍しい空間でした。
家の周りも田んぼがあったり隣の家まで少し距離があったりして、いかに普段の自分が狭い空間で過ごしているかを思い知ったものです(笑)。
アシスタントさんはまだ全員そろっているわけじゃなく、時間差で出勤する方法を取っているようでした。一通りの挨拶を済ませ、さっそく作業へ。
Oさんと私、そしてもう一人のアシスタントさん三人が、20畳ほどの部屋の中でそれぞれ別方向の壁に向かって作業するという、なかなかにシュールな時間が過ぎていきます。
この頃の私はもう「アナログ作業」に関してはそこそこ自信もついてある程度の要求には答えられていたので、初めての仕事場にもかかわらずしばらくは何事もなく淡々と作業は進みました。
力を入れた背景を褒められたりもして少し気分を良くした私は
(なんか楽な仕事だな。そこそこギャラもいいし、やはりある程度経験詰むとそれだけで気持ちにも余裕出てくるもんだな)
などと考えてもいました。
(アシスタント始めたころの修羅場などすでに過去の話、俺の腕はもはやどんな要求にもこたえられる「プロフェッショナル」といっても過言ではない状態にまでなってきたんだ・・)
的な、おかしな自信を持ったまま仕事を進めていました。
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突然降りかかった大ピンチ! いやチャンスと言うべきか・・
しばらくのち、背景作業がOさんのペン作業に追いついてしまって私の仕事の手が空いてしまうという状態になりました。
そうなると次の指示があるまで待機という形になります。
私は持ってきた本でも読もうかとバッグから一冊の本を取り出し、パラパラとページをめくり始めました。するとそれまで私の背景仕事の指示を出そうと資料を探していたOさん、何やら思いついたように私に向かって質問をしてきたのです。
Oさん「そうだ○○(私の名前)くん、きみさ、デジタル作業ってしたことある?」
私「は?」
「いや、これから先の背景作業、資料が届かないとできないんだ。別のアシスタントが持ってくることになってるんだけどまだ時間あるからさ、それまでパソコンでデジタル作業してほしいんだけど。」
私「デ、デジタル?パソコンで作業?」
恥ずかしい話ですが私は、今でこそこうやってエラソーにブログなんか立ち上げてデジタル作業いっちょ前にやってたりするんですが、元来は「超」がつくほどの「アナログ人間」。
パソコンだってネットサーフィンくらいでしか触ったことがなく、ましてマンガをパソコンで描くなんてこと、当時は思いもしていませんでした。
それ以前に、高橋しんさん(いいひと。最終兵器彼女 等連載)の所にヘルプで入った時、デジタルトーン専門のアシスタントさんがいてデジタル作業をやっているのを見たことはありましたが、自分には縁のないものと思い込んで気にも留めていませんでした。
そんな私に、いきなりデジタル作業のオファーが。
私「い、いや無理です。私デジタル作業なんてしたこともないですし。パソコンだって初心者レベルですよ。」
Oさん「う~ん・・でも今んとこ他に仕事ないしなあ・・遊ばせておくわけにもいかないし‥とりあえずまだ締め切りには余裕あるしさ、勉強だと思ってチャレンジしてみない?わかんないとこは教えてあげるからさ。」
こうまで言われて断れるはずもありません。
こうしてパソコン歴わずか数年、ネットサーフィンやせいぜいyoutubeで動画見るくらいしかパソコンに触ったことのない超ド級の素人が、恐れ多くもデジタル作業に仕事で関わるという
私にとってはとてつもなく「ミッションインポッシブル」な状況にいきなり追い込まれてしまったわけです。
先ほどまでの余裕はどこへやら。仕事場のパソコン前に無理やり座らされた私の緊張感は、まるで初めてアシスタントに入った時の「あの時」を彷彿とさせるものでした。
「借りてきた猫」いや「ずぶぬれで捨てられた子犬」のように体中を「プルプル」震わせながら私は、迫りくる恐怖に一人恐れおののいていたのでした…。
つづく
(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。)
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