決定後の職場の雰囲気は?私自身のその後は? 漫画アシスタント体験記 第23話

アシ 漫画アシスタント体験記

 

決まったものはしょうがない

 

作家さんたちは、当然ながらみな努力しています。しかしそれでも不幸な結果は訪れます。運やタイミングなどいろいろあるでしょうが。特に大手の雑誌等では人材も豊富で、よほど実績を残しているベテランさんでもない限り切られる時はシビアです。

スポンサーリンク


しかし、決まってしまった以上グダグダ言っても仕方ありません。 それから後はむしろサバサバしたもの。仕事場はいつもの元気さを取り戻していました。

ただ、仕事の内容はハード。なにせいきなりストーリーを収束へ向かわせなければなりません。

過去に布石として出したキャラクターをとっとと出して処理しなければ辻褄が合わない。本来はもっともったいぶって出すはずの連中をいきなり総動員させるわけですから、こちらの作業的にも割り増しで辛くなります。

それでもゴールが決まってるせいか、軽口も弾みます。作家さんと年が近く気のおけない仲間であるチーフアシは、アシだけで語り合ってた「なぜダメだったかの分析」をわざわざ作家さんの前でもはじめ「俺ならこうしたああした」と、無責任に言い合います。別に真面目な話でなく、ワイワイ言いながらの雑談です。

 

新しい仕事場探し

 

そしてなにより気になるのはやはり、ここの仕事が終わったあとのこと。今回は私の責任による解雇ではありません。あくまで職場都合のいわゆる「解散」になるわけで、そういう場合はその後の仕事場を、作家さんが編集さんに頼んで探してもらうという場合があります。 (もちろんそうでないところもあります。このあたりは結構シビアで連載が終われば解散でそのあと何年も会ってないアシ仲間、たくさんいます)

最近はネットでの掲示板やHPなどで募集してるところもありましたが昔は雑誌に載ってる募集ページなどでしか探せない状況の時もありました。だからこそ担当編集さんがつくというのは「人脈」という意味でも重要なのです。

今回は、作家さんが自分の担当編集さんに、それぞれのプロフィールを知らせ、アシスタントを募集してる作家さんに声をかけてくれることになりました。

その結果、私と例の「ミリタリー系チーフアシ」さんが、同じ仕事場の新連載の作家さんのところにお世話になることになりました。早々と決まったことに一応の安堵感はありましたが、この「屁理屈系ミリヲタチーフアシ」さんとまた机を並べることに一抹の不安はありました・・(笑)

スポンサーリンク


 

最終回の原稿も脱稿し、ついにこの現場での仕事が終了。昼間ではありましたが近くのファミレスで打ち上げをやることに。(この現場では作家さんが好きなので事あるごとに打ち上げをやってました。これもまた現場しだいです。何かしら理由をつけて飲みたがる人はいます(笑)。

いつもは陽気な作家さんも、この日ばかりは少し寂しそうに見えました。まあ当たり前です。大手の出版社での週刊連載といえばマンガ家にとっては人生を賭けた勝負のようなもの。そこで、ある程度は続けたものの自分の意図しないタイミングでの打ち切りはそりゃ精神的にキツイです。

しかも週刊となれば他に掛け持ち連載するのも難しく、それ一本にかかりきりの場合がほとんど。(その意味では昔の作家さんはすごいなとも思います。掛け持ちで週刊連載2.3本持ってた人もいたわけですから。まあクオリティや作画の密度も全然違いますが。) つまり作家さんにとっても収入源が絶たれてしまうわけで、死活問題です。

作家さんは作家さんで、(明日からの生活どうしようか・・)と、真剣に悩んでいたことでしょう。

最後に作家さんからのねぎらいの言葉と、「解散!」の乾杯で、この職場での仕事が終了しました。でも、ここで知り合った仲間は今でも交流のある人はいてたまに連絡取り合ったりします。中には某アニメ専門学校の講師になった人もいて・・月日の流れを感じます(笑)

 

三つ目の職場 そして編集部主導による作品の作られ方を学ぶ

 

しばらくして、新たにお世話になる作家さんから連絡が。仕事を始める時期、時間、やり方など軽く打ち合わせをしました。

この作家さんは私と年齢が近い人。そして初の連載ということで、気合も入ってましたが同時に緊張していました。

今までの人とは打って変わってやたら腰が低く、

「なにせすべてが初めてなもので・・よ、よろしくお願いします。」

↑こんなこと、今までは私が言ってたことなのに、逆に言われることになるとは・・と、軽く違和感、こちらも恐縮しきりで、

「いえいえ私こそ、まだまだ勉強中なのでよろしくお願いします。」

「いえいえこちらこそ」

「いえいえ」

いかにも日本人らしい(笑)やり取り。きっとお互い電話口でお辞儀しまくってたことでしょう。

 

かくしてアシスタントを始めてまだ一年足らずの私が、早くも三つ目の仕事場に行くことになったわけですが、そこではなんと言いますか、大手出版社のやり方、マンガ家を目指す人にとっては厳しい「現実」というものを見せられることにもなったわけですが・・。

それはまた、次の章で。

つづく

(この体験記は不定期更新となります。次に続いたり、しばらく後だったりします。ご了承ください。すぐ続きがお読みになりたい方は、こちらをクリックしてください。)

また新たな仕事場 新たなアシ仲間 そして新たな発見とは?

スポンサーリンク


コメント