この章では、漫画アシスタントをすることによるメリットを書いていきます。
本格的な技術が学べる。
これはまあ当然でしょう。それがなければやる意味もないからね(笑)。でも、なんとなくはわかっていても実際現場に入ってみないとどういうふうに「プロ」は仕事をするのかわからないもの。ただ好きに描けばいいわけではもちろんないし、作家さんならでは、その職場ならではのやり方があります。
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特に、無駄を省いて効率的に仕事を進める方法は、現場でなければ身につかないもの。自分では正しいつもりでも実はものすごく無駄なことをしていた、なんてことよくある話です。
漫画を一本上げるためのタイムスケジュールも勉強になりますね。たとえ小さい背景でも校舎とか資料がたくさん用意されてるものはともかく、描き慣れてないもの、詳しく見ないとわからないものは調べなければ描けません。
ネットがまだなかった時代、作家さんたちは自分で撮ってきた写真を使わせたり、アシスタントに撮りに行かせたり、写真が載ってる本を買ってきたり。ミリタリーものなんかで、特殊な資料が必要なものは既に作家さんのところにあったりしますが、イレギュラーで見慣れないものを描くときは大変でした。
でも今はネットがあるので、大体が検索で一発解決。 と思うでしょうが、これがなかなか・・。欲しい写真が意外になかったりして時間かかる場合があります。
(元アシスタントの愚痴ですが(笑)、それこそ昔は資料を揃えるのも作家さんの仕事でした。でも今はネット検索ができるので、探すのはアシスタントの仕事になりました。まして「これ」と決まったものならともかく、「雰囲気的に金持ちっぽい学校の校舎、テキトーに探して描いて」なんていうアバウトな指示の場合、本当に厄介です。心の中で(自分で探せよ!)なんて思ったりします(笑。)
話が逸れました。
とにかく思わぬところで時間がかかったりして、特に初めのうちは自分の作業のペース配分がわからないから気が付くとあっという間に時間は過ぎてしまいます。
大体の目安としては、小さいコマ(原稿用紙6分の1くらい)で、それほど難しくないもの(天井、ドア、モノにもよるが小物など)なら、下書きから完成まで 3~40分から1時間前後、、
家の外観、街景などわりと込み入ったもので2~3時間といったところでしょうか
(コマが大きくなればもっとかかる場合があります)。
それ以上かかると「遅い」という印象になります(もちろん描くものによって様々です。小さくても時間かかるものもあるし、逆もあります。)しかし、よほど難しいコマでない限りひとつのコマに半日以上かかるようでは任せられません。自分なりに工夫して、丁寧だけど早く描く練習をしたほうがいいですね。
こういう時こそ、周りの先輩にどしどし聞けばいいと思います。もちろん仕事中は迷惑なので、昼食の休憩中とか合間を見計らってどうすれば早く描けるのか、ここの描き方はどうすればいいのか、質問はどんどんしましょう。
線の描き方
線の見た目的には、とにかく、細く細く。 これはどこの現場でも言われると思います。
経験の少ない初心者の線は、とにかく太い。 もうそれだけで「荒い絵」という印象を持ちます。要するに下手に見えるのです。印刷されたものを見ると、結構線が太く見えていると思いますが、生原稿を見るとびっくりするくらい細いです。
僕も初めてプロの生原稿を見たときは衝撃でした。もちろん、絵柄によっては太い人もいます。最近は特に、キャラ線さえ細い人が多いですね。そして、それと同じくらい大事なのが
線の強弱 抜き
線の強弱のつけ方については、現場で徹底させられます。 いわゆる「生きた線」 「死んだ線」と言われるものの違いは、まさにこの線の強弱のつけ方と、線の「抜き」によります。
左は全く強弱がなく、右は強弱と「抜き」をしっかり意識した絵です。このように同じ絵でも、強弱があるとないとでは、明らかに違いがあります。これは、自分のキャラを描く上でも、重要な技術です。線の抜きについては他の記事で詳しく説明します。
ペンを自由自在に操れるようになれば、あなたの技術は格段にランクアップし、一段とプロらしく見えます。僕もこれができるようになって、すごく自分のスキルがアップしたようなそんな自信を持った覚えがあります。
独学だけでは身に付かない「プロとしての技術」がアシスタントになることで身に付きます。
どのくらいの分量のものを、どのくらいのペースで上げるのか、体感的に分かるようになることもメリットです。プロの現場での仕事のやり方を学ぶことは自分が将来作家になった時戸惑わなくてすみます。いきなり何も知らないままプロとして始めようと思っても、作画以外に分からないこともたくさんあります。
そういう余計なことで時間を食うより、早く作業に没頭できるためにも現場を知っていることは重要です。ただ単に他人の仕事を手伝うだけでなく全てを自分の将来のために生かす。
そういうしたたかな思いを持つことも、決して悪いことではありません。
(絵柄や話のパクリはダメですよ、当然ね(笑。)


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