こんにちは OYUKIHANです。
さて今回は「目」の描き方です。
漫画家がキャラを描く時、そして読者がキャラを見る時 どちらも最も重視するのがこの「キャラクターの目」です。
キャラの目が生きているか死んでいるか、魅力的か魅力的でないか これがその作品の「すべてを物語る」と言ってもいいでしょう。
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バランスを考えよう 目も顔も「平面」ではない
それだけ重要な場所であるだけに、おそらくプロアマ問わず、漫画を描いてる人が一番しっかり時間をかけて描くのが「目」でしょう。
ただ、やはり基本的な描き方を知らないと上手く描くことはできません。
ほぼ正面から見た時はそれなりに見えても、キャラが斜めや上下を向いた顔を描いた時などに「大きさや形がどーもバランス悪いなあ・・」と感じることがあったりします。
そんな時は大体「目」や「顔」の立体感を考えてなかったりします。まずは基本的に「目」とはどんな風になっているのか、その構造からしっかり把握することが大切です。
目の構造
図を見てわかるように「目」は「球体」です。丸い眼球の前部分に、これまた丸い「角膜」があってそこから光が入り、水晶体でピントを合わせ、網膜で焦点を結び、集まった光が視神経を通じて脳に伝達されて「目が見える」わけです。
なぜ丸いのか、それは当然「激しく動かす必要がある」からでしょう。眼球が四角だったら動かしにくくて仕方ありません(笑)。
ここで大事なのは「円」でなく「球」であるということ。横から見ても上から見ても「丸」になる。当たり前のことですがまず基本として覚えておかなければならないことです。
アタリをしっかり描く。
その「球体」である「目」が顔にくっついてるわけですが当然ながら顔も「丸い」です。
球体というほどではありませんが丸まっているのは事実なので、丸い顔に丸い「目」がついてるのでそれを表現するのは難しいに決まっているのです。
あくまで漫画なのでそこまでリアルに描く必要はないですがそれでも気にしなさすぎると下の図のようにのっぺりとした平面に平面な目がついてるという形になるので変に見えてしまうわけです。
アタリの取り方
なのでアタリを取るときも「丸」を意識しながら取ることになります。
そして顔が斜めになっている時はそれも考慮に入れて、「手前側の目」と「奥側の目」で微妙に大きさや形を変えて描かなければなりません。
初心者さんなどはこの「アタリを取る」ところであまり気を遣わず「なんとなく」で描いているのではないでしょうか。ここでしっかり形を確認しないとどんなにペン入れでしっかり描いたとしてもできあがってみると「なんか変だな…」となってしまうのです。
目の形を整える 六つのポイントとは?
眼だけを描く時にも気を付けることがあります。
それは「六つのポイントに気を付けて描く」ということ。
上下に渡って目の形を決定づける「ポイント」六つ。
②目頭から上まぶたまでの角度を決めるポイント
③上まぶたから目尻までの角度を決めるポイント
④目頭から下まぶたまでの角度を決めるポイント
⑤下まぶたから目尻までの角度を決めるポイント
⑥目尻
このポイントの一つ一つを変えることで、ツリ目やタレ目、目の大きさや形などが違う目が描けるわけです。
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男女キャラ別 「目」のバリエーション
今までに様々な作家さんが様々な「目」を描いてきました。
ここで男女別、年代別の「目の描かれ方」の変遷を見ていきましょう。
男性キャラ
漫画の歴史をさかのぼれば「鳥獣戯画」や「北斎漫画」などいくらでもさかのぼることができますが、いまさらそんなところから見る必要性を感じないので(笑)。
ここで注目するのは漫画の月刊誌や週刊誌が創設された1960年代以降のキャラクターについてです。
手塚治虫氏の登場から、彼に影響された漫画家たちのタッチを見てみるとそもそもの絵のタッチがシンプルであったため非常にデフォルメされた「目」が描かれていました。
ただこの頃からすでに「明るい主人公=クリッとした目」「クールな悪役=細い目」という図式はすでに出来上がっていたようです。
その後「劇画」というジャンルの漫画が出始めると、割とリアルな目の表現が出てきます。
この頃はやたら「眉毛」が太いキャラクターが多い印象ですね。
80年代に入ると、少年ジャンプの台頭により「シンプルな中にも強い意志を持った少年の目」というような表現が多くなります。
もちろん「スラムダンク」のような、リアルタッチでありながら洗練された新しい表現をした技法なども現れ、新人さんたちがこぞってマネをしたものでした。
その後アニメなどの影響か、わりと男性キャラの目の描かれ方は少し画一的になってきたような気もします。
ただ総じて男性キャラの目の表現はそこまでバリエーションがあるわけでなく割とシンプルに「目の玉の大きさ」や「目そのものの形」だけで表現されてきたように見えます。目の表現よりのそのキャラクターの性格や髪形、衣装や行動によってパーソナリティを出している印象ですね。
女性キャラ
対して女性キャラはどうでしょうか。
初期の頃は、少女漫画も男性作家が描いていました。「リボンの騎士(手塚治虫)」「魔法使いサリー(横山光輝)「秘密のアッコちゃん(赤塚不二夫)」など。
したがってこの頃はみな手塚タッチの影響を受けた作家さんが多かったため、女性キャラのタッチもみな手塚調になっていて、とにかく目がデカくクリッとしてればそれでOK的なキャラが多かったようです。
70年代になり「水野英子」「いがらしゆみこ」など、女性が描く少女漫画が人気になり、女性キャラの造形も変わってきました。
男性キャラと同様「リアルタッチ」なキャラが増え、特に「時代」を反映してか、やたらまつ毛の長い『濃い系』のメイクでもしてるんじゃないかっていうような「派手な目」のキャラが多くなってきました。
80年代や90年代になると女性キャラもそこまで派手でなく、だけどオシャレで洗練されたカッコいい女子キャラが人気になります。
目の描き方も割とシンプルなものや、より「イラスト的」なものが多くなった印象です。
基本的にそんなに変化はないように見えますね。要はまつ毛の分量と、目の玉をどう表現するかがそれぞれで違うと言った感じです。
あと、男性向けロボットアニメなどに出てくる女性キャラは割りとキリッとした目のキャラが多いのに対し、女性向けの少女漫画などに出てくるキャラはやはり「かわいらしさ」を強調した目が多いようにも見えます。
こうしてみると男性キャラの目はそこまで細部にはこだわらず形で表現するのに対し、女性キャラは「まつ毛」や瞳のウルウル感」など目そのものというより「付属品」で表現するというのが特徴のように思えます。
もちろん作家さんが男性か女性かでも違ってきますね。女性作家さんは男性キャラ(特に美少年キャラ)にはそれなりに力を入れるので、キラキラ感やクール感が男性作家のそれとは明らかに違います。
一口に「目」と言っても作風や時代によっていろいろ違っていて面白いですね。
まとめ
以上、「目」の描き方とバリエーションの解説でした。
もちろんどんな目を描くかなんて人それぞれだし好みでいいんです。
ですがまだあまり描き慣れてない方の絵を見るとやっぱりバランスが悪く見えたり、せっかくいいキャラなのにその魅力が出し切れてないんじゃないかという絵をたまに見ます。
そういう方の少しでも参考になれば幸いです。
やはり漫画はキャラクターが命です。
ヘタすると一生付き合っていく相棒になるかもしれないキャラクターの目、精一杯魅力的に描いてあげましょう。
ではまた。
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