どうせ一緒に仕事するなら気の合う人と・・それが人情ですが。 変わったアシスタント その2

musu 所見

前回の続きです。

 

変に要領のいい人(悪い意味で)

 

今度の例は私が実際に会った人です。Eさん としましょう。技術的には問題ないんですがなんというか・・「そういう生き方をして本人がいいと思えるなら羨ましい」くらいの人でした(笑)。

スポンサーリンク


私よりその仕事場では先輩ですが、そこを辞めて別の仕事をしていたらしく、その時も「復帰」ではなく「忙しいから来てくれ」という作家さんからのたっての希望でヘルプに来た人。そういう事情からかどこか「来てやってる」感、 「我が物顔」の目立つ人でした。

別に横柄だとか偉そうなわけではありません。むしろ人当たりは良く、私も第一印象はなんか優しそうな人だなーと思ってました。実際優しいし、物腰は柔らか。問題はなさそうに見えました。しかし、以前そこで働いてたという気楽さで、その現場でのやり方がすでに変わっているにも関わらずそれに従わず「いーっていーってこれで」「昔はこれでOKだったんだからいーって」。そこの現場は作家さんが外出してることが多かったため、作家さんの許可も得ず自分なりの仕事のやり方を曲げない人でもありました。

 

「そこまでやるか」事件

 

そして、それだけなら良かったんですが・・個人的に許せない事件が起こったのです。事件なんて大げさなことではありませんが、ある追い込み作業の時のこと。現場によってやりかたは違いますがその現場は一ページまるごと渡され、そこの背景をすべてその人が担当するやり方でした。

その時私がやっていたページは、上半分にビル群、下半分に大勢のモブ(群衆)という、なかなかにボリュームのあるページでした。比較的楽なモブの下描きをなんとか終え、ペン入れに入りかけた時「おーい○○くん、Eくんが手が空いたから君の原稿半分に切って渡してやってくれ」と作家さんに言われた私。「はーい」と返事はしたものの、その直前に急激な便意に襲われていた私は「すいませんEさん、私ちょっとトイレ行くんで、そちらで勝手に切って勝手に持ってってください。」と、原稿のカットをEさんに任してトイレへ。

これが間違いのもとでした。

スッキリして戻ってきた私が自分の机に戻ると・・机の上には原稿の半分がありました。しかしその半分の原稿は・・私が長い時間かけて描き上げたモブの下描きの方ではなく、まだ何も手をつけてないビル群の方だったのです。

いや、どっちを持っていけと言われたわけではありません。本人的にはそう言いたいのでしょう。しかし考えてください。片方は他人が必死で下描きを描いて、あとはペンを入れるだけの楽な方。もう片方は0から始めなければならない大変な方なのです。普通は暗黙の了解で誰も手をつけてない方を持っていくものです。

私が彼ならこう思います。「ああこっちの下描きのある方は、この人が頑張って描いてるんだから持ってっちゃ悪いな。何も手をつけてない方を持っていこう。」いや 私でなくとも普通の人はそうすると思います。

それにこの仕事をやった人以外にはわかりにくいかもしれませんが、下描きにも個性があり、そこまで描いたら他の人は手を出さないものです。そもそも他人の下描きに他の人がペンを入れるなんてこと、まあありません。

でも彼はおそらくこう思ったのです。

(あーどっちも大変そうだなー・・どっちが楽かなー。普通は上の何も手をつけてない方選ぶんだろうけど面倒くせえなー・・。

いいや、彼が下描き描いたこっちの楽な方持ってちゃえ・・。)

そして彼はなに食わぬ顔で、私が下描きまで描いてペンを入れかけた楽な方に、私の許可もないまま勝手に続きのペンを入れ始めていたのです。

これにはさすがに温厚な(笑)私もカチンと来て、上半分の原稿持ちながら言いましたよ。「いやちょっと待ってくださいよ。それ私が途中までやってたものだから、持ってくならこっち持ってってくださいよ」。

それに対して彼「いや、まーまー・・いいじゃん ね?」(何がいいのやら)

一応先輩でもあり、作家さんが何も言わないので泣く泣く引き下がりましたが、正直強い口調も出かかりました。この人は一事が万事この調子です。つまり「いかに楽をするか」を常に考えてる。いや別にそれ自体はいいんです。この人の厄介なのはその言葉の前に「他のアシスタントに迷惑をかけることになったとしても」が入るのです。自分が楽するためなら他人に辛い思いさせても構わないという考えがどこかにあるのです。

スポンサーリンク


 

そしていなくなった

 

一通りその週の作業が終わり、アシスタントはみな後片付けに入っていました。これも現場によるのですがそこの現場は作業が終わると全員で部屋の掃除をする、というのが決まりでした。みんなで椅子を机の上に上げ、結構大掛かりなもの。でも大事な仕事のうちです。

気が付くと・・Eさんがいません。「あれ?Eさんどこいった?」「あれ?」「さあ」「トイレかな?」気になりながらも掃除を始める私たち。ふと2階にある仕事場の窓から外を見下ろすと・・

そこに、荷物を抱え、そそくさと逃げるように帰るEさんの姿が。ふとこっちを振り返り、私と目があったことに気づくとバツが悪そうに目を伏せ、そのまま帰って行きました

もはや怒るというより呆れて、笑っちゃいましたよ。やり方もなんか、小さいというか(笑)。みんなで後かたづけするのも嫌なのかと。まあそりゃ面倒くさい気持ちはわかるけどみんながやってるのを尻目によく帰れるなと(笑)。しかもみんなの目を盗んでコソコソと(笑)。

もう仕方ありません。こういう人は「こういう人」なんだと諦めるしかありません。実際その日以来会うことはなかったので、もうできれば来ないで欲しい、二度と会わなければそれでいいという境地でした。

 

なんか思い出したらまた感情が高ぶって、ムカムカ来てしまいました(笑)。まあこんなのは氷山の一角です。またなにか思い出したら書きたいと思います。

でもまあこういう人たちも、はたから見てる分には「面白い」で済む話なんですけどね。

スポンサーリンク


コメント