こんにちは OYUKIHANです。
以前の記事で、ストーリーの作り方の中でも基本となる「アイディアの出し方」について書きました。
これからの記事は そのアイディアをどういう風に作品に組み入れるか、物語の流れの作り方、いわゆる「構成のしかた」についてです。
といっても、基本的なやり方については他にもいろんな意見があるし、その手の方法論を示した教則本やサイトはたくさんあるので僕がわざわざ一からやる必要はないと思ってます。
僕が紹介するのはもっと実践的な、新人賞などの投稿作でのストーリーの作り方、あるいは打ち合わせで編集さんに印象付けるプレゼンの仕方などについてです。
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ただ今回はその前にその本題に入る以前の段階、新人が投稿作を描く前に抑えておくべき「考え方」について述べておきます。
本題に入ると結構長くなってしまうので一つにまとめるより分けた方がいいかなと思ったもので。
ただこれもあくまで「私見」にすぎませんので、「必ずこうしなければならない」というわけではありません。現場を見てきた人間からの一つの参考意見として読んでいただいて、そこから先はご自身で判断してください。
逃げたなニヤリッ( ̄▽ ̄)。
投稿作を描く上での心構えその① ページ数を頭に入れる
当たり前の話ですがどんな雑誌の新人賞でも、描いていいページに制限があります。
短いものでは18pから24p、青年誌などでは30p、少年誌では50pあたりが基本のページ数になっています。最近ではページ無制限なんてところもあるようですね。
雑誌別ページ制限 おおよその例
少年、少女誌 ストーリー系 30p~50p ギャグ系 16p~30p
青年誌 ストーリー系 32p前後 ギャグ系16p前後
4コマ どちらも1ページ2本で10本以上
このページ内で作品を完結させなければいけないわけですが、では一体何ページくらいが適当なのか?多ければ多い方がいいのか?気になる所です。
もちろん作品の内容によって違ってくるのは当然ですがそれでも「おすすめ」のページ数はあったりします。
管理人がおすすめする「投稿作にふさわしいページ数」とは?
私がおすすめするのはズバリ18p~24pまでの短編作品です。
もちろん「こういう作品が描きたいんだ!そのためにはこれくらい必要だ!」と、作品の内容からページ数を決めるやり方も当然あるし、別にそれが間違ってると言ってるわけではありません。
しかし私も何度か新人賞に応募したり、打ち合わせなどの編集さんとの会話で学んだ情報を暴露するならば、やはり編集さんサイドとしては
というのが正直なところだそうです。当たり前ですが雑誌は「売り物」なので、「売れない」つまり「読まれない」作品に労力を使いたくないのです。
「作品に箔(ハク)をつける」の「箔」とは、例えば
「あの○○先生大絶賛!読むべし!」
など、タイトルページや次週予告などにやたら派手な煽り文句が書いてあるときありますよね?
有名作家の名前が書いてあればその人のファンは読むかもしれないし、ファンでなくても「あの先生の絶賛する作品なら面白いんだろうな‥」と思ってもらえれば読んでもらえるかもしれない。
箔とは「モノの値打ち」のことで、こういう「煽り文句」をつけることで作品に値打ちがついて「これは読む価値のある作品ですよ!」と思わせるテクニックを使うという事です。
要するに「全米が泣いた!」ってあれか(笑)
逆に言えばそのくらいしなければ50pなんてページ数の多い無名の新人の作品、読者は読まないということです。30Pでも厳しいでしょうね。なので編集サイドとしては「よほどの名作でもない限り新人にそんなたくさんのページ数を与えるようなことはしたくない」というのが本音です。
だから必然的に雑誌に載るのは18p~24pくらいの短編モノが多い。なのでそのくらいのページ数で考えるのが「掲載」を目的とするならば一番合理的と言えるのです。
さらに言えば漫画家が急に病気で休載することだってある。その時の「穴埋め」として連載陣と同じくらいのページ数の作品を編集部としては「ストック」しておきたいんです。そんなときのためにも18pや24pの読み切りは実に都合がいいんです。そうやって思わぬ形で掲載のチャンスをもらい、連載までこぎつけた作家さんも実際います。
以上の理由から私は読み切り投稿作品を描くなら断然18p~24pくらいの短編をお薦めするわけです。
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投稿作を描く上での心構えその② 投稿作をゴールにしない
「見たこともない名作を描いて、編集部の度肝を抜いてやる!」
そう意気込む気持ち、わかります。僕も以前はそうでした。
しかし考えてください、投稿作はあくまで「スタート」です。いわば作者の「名刺代わり」のようなものです。
「僕はこういう奴ですよ。こういう作風でこういう絵を描く奴ですよ」と、編集さんたちに「挨拶」をするようなものなのです。はっきり言って、「大作」は必要ありません。
何か個人的に思い入れがあって「なんとしてでも大賞取りたい」とかあるいは「賞金100万円が欲しい」とか目的があるなら別ですが、とりあえず僕は「新人が賞に応募する目的」はあくまで「編集さんとのつながりを作るもの」でいいと思っています。
だからできるだけ投稿作にはあまり時間や労力はかけず、受賞した後の編集さんとの打ち合わせの段階で自信のネタをぶつけた方がいいと思います。
上に描いたように、「投稿作」が「ゴール」になっては意味がありません。切り札は後に取っておく。そういうしたたかさも必要な時があるのです。
「いや俺はそんな打算で作品は描かない、投稿作に全身全霊を込めるんだ!」という方に対してはもちろんそれを止めるようなことはしません。それはそれで立派な心掛けです。
僕も別に「投稿作だから手を抜け」と言ってるわけではありません。短いページの中でも全力を傾けなければ人の心は動かないし、逆に「短いからこその難しさ」もあるからです。
しかしやはりプロとしてやっていきたいと思ってる以上、第一目標は「連載」です。そこに照準を置いた考え方をせよ、と言っているのです。なんでもそうですが「努力」には「無駄な努力」も確実に存在します。他人の力を上手に借り、最短距離で目標に向かう「効率的な努力」をする。
これは絶対に必要な考え方だと僕は思っています。
投稿作を描く上での心構えその③ タイトルページは1ページ目に
こちらは実践編に近いのであとでもいいかなと思ったのですが思いついたので書いておきます(笑)。
タイトルページとは当然作品のタイトルが書いてあるページのことですが、
通常タイトルページは1ページ目に設定し、主人公やヒロインなどの顔のアップ、あるいはその作品を象徴するシーンなどが描かれています。
でもたまに映画などの影響もあって、1ページ目にナレーションによる世界観の説明やストーリーがすでに始まっていて、2ページ目にタイトルページがあるマンガがあったりします。
プロ作家さんの新連載作品なども大体この始まり方が多いので、それを見てその始まり方がカッコイイと思うのでしょう。もちろん私も過去にこのやり方をしたことがあります。(中には2,3ページも話が進んで、タイトルがけっこう後に出てくるマンガもあります。)
ただこのやり方、はっきり言いますが新人の頃はやめておいた方がいいと思います。
これも僕が編集さんに言われたことです。
そうなんです。いくらカッコいい始まり方だと自分では思っても、無名の新人の作品には上で書いたように読者はさほど興味を持ってくれません。
そんな人にいきなりナレーションなどをぶつけても、次の2ページ目を開くころにはすでに忘れています。
マンガを読む人の意識は、タイトルがあって初めて「これからこの漫画が始まるんだな」と思ってくれます。なので、タイトルが書いてあるページを1ページ目と思い込み、その前のページのことは忘れてしまうのです。
これが有名作家さんや、その作家が好きなファンの人が読む場合は1ページ目から食い入るように見てくれるでしょう。しかし無名の新人の作品や興味ない作品の1ページ目なんて誰も大して意識してないんです。
これはあなたご自身が読者になった場合もそうじゃないでしょうか。
もっと言うと、例えば1ページ目にストーリー上大事な要素がすでに描かれてたとしても読者はすでに忘れているので、読んでいくうちにわけがわからなくなったりします。結局「ん?どういうことだ?」と、最初から読み返したりして、その分作品のテンポが崩れたりします。
そうなると読む方はストレスになって「この漫画つまんない」というレッテルを貼られてしまうこともあります。
出来れば読み返したりすることなく、スムースに最後まで読んで欲しいというのが作者の思いでしょう。「感動したからもう一度読もう」というなら別ですが「わからないから読み返そう」なんて、新人作家に対してそんな優しい読者はそういません。大体は「わかんねえや、やめよ」となるのがオチです。
作品として「カッコよくキメたい」という気持ちはわかりますが、なるべくなら新人のうちはあまりカッコつける事より自分の作風やキャラクターをしっかり「見せきる」ことに集中した方がいいと思います。
タイトルはわかりやすく、主人公の顔などもしっかり描いて「さあここから本編が始まりますよ」と読者にしっかりアピールする。
話が面白ければページの構成なんて関係ないとは言いますが、1ページ目をせっかく描いたのにページをめくった途端に忘れられてしまうなんてもったいないです。
タイトルをしっかり描いてそのあとから本編を描き、物語を隅々までしっかり読んでもらう工夫をするのも作者の務めだと僕は思います。
もちろんこれも「いや俺はそれでも1ページ目にナレーション入れて、2ページ目でババ―ン!とタイトルページを見せるやり方が好きなんだ!」という方には、無理にやめろとは言いません。あくまで「そういう考えもあるんだな」という参考意見として聞いていただければと思います。
まとめ
以上、とりあえず「ストーリーの作り方 構成編」の本編に入る前の「心構え編」でした(笑)。
いやこれだけでも結構かかった、やっぱ分けて良かった。
作品の中身についてはご自身の考えもあるでしょうから好き好きでいいですが、やはりどうせ描くならたくさんの人に読まれたい、というのが正直なところでしょう。
そのためにはやはり「掲載されること」が一番です。そしてそこにたどり着くにはできるだけ「最短距離」がいいと思います。無理に苦労したところでいいことありません。
改めて言いますが個人的な意見としては、投稿作に時間と労力をかけるより「打ち合わせ」に全力で挑んで欲しい。 これに尽きます。そのための参考意見として今回の記事を書いてみました。
何か皆さんのヒントになれば幸いです。
次こそいよいよ本編に入りたいと思います(笑)。ではまた。
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