元週刊少年ジャンプ編集者が新人漫画家向けブログを開設!その内容は?プロの技術からなにが学べるのか

KZDSCF5622_TP_V4 漫画の作り方

こんにちは。今日めっちゃ暑かったですね。最近涼しくなったので長袖着て外へ出かけて、あまりの暑さに大汗かいて帰ってきたOYUKIHANです。

 

 

アマチュアからプロまで、誰もが自作の漫画を投稿できるサイト「ジャンプルーキー!」内にて、元週刊少年ジャンプ編集者によるブログ

「元週刊少年ジャンプ編集者が漫画家から学んだことを書いていく」が今日9月6日からスタートしました。

 

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元ジャンプ編集者によるブログ開設!その内容は?

ブログ作者は元週刊少年ジャンプ編集者で現在キャラクタービジネス室副室長である齊藤 優さん。

「アイシールド21」「銀魂」「黒子のバスケ」「HUNTER×HUNTER」などを担当。

 

このブログは、これから漫画家を目指す人、あるいは今現在漫画家になるために勉強中の新人さんたちに向け、作者が担当してた漫画家さんやお付き合いのあった漫画家さんから聞いた話や自身が感じたその作品の凄さなどを紹介するブログです。

今まで知らなかった有名作家さんたちのテクニックなどを勉強するにはいい機会と、すでにいろんなところで話題沸騰です。

 

 

 

記念すべき第一回目取り上げる作品は言わずと知れた国民的人気漫画「こち亀」こと

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』です。

 

内容としては「1秒で漫画読みやすくなる方法」として、この作品における「セリフと絵の一致性」について書かれています。詳しくはブログの方へどうぞ。

そちらを一度読まれてから、こちらに来てこの記事を読まれた方がいいんじゃないかと思います。

 

 

ここからはあくまで「私見」です。

そのブログで書かれていることは要するにキャラクターがしゃべっているセリフと動作を一致させることでよりわかりやすく状況を読者に訴えることができる という事です。

ただ個人的にはそれはちょっと「昔のやり方ではないかな・・」と思ったりもします。

昔の作家さんの漫画は、キャラクターが自分のやっていることを逐一しゃべったりしていました。

楳図かずおさんの「漂流教室」に出てくる主人公のお母さんは、今から自分のやることをいちいちしゃべっていたものです。

 

「これから学校へ行かなくちゃいけないのだわ。それからあそこへ行ってあれをやって、そうだわ、あれをしなければいけないからこれを忘れてはいけないのだわ!」

 

云々(笑)

いや確かにわかりやすいです。たまに主人公が「何をやってるのかわからなくなる漫画」がある昨今では、こういうやり方は実に読者に親切と言っていいでしょう。

しかしこのやり方というのは、当時漫画が「児童マンガ」として、あくまで子供向けとしての地位しかなかった頃、子供たちにもわかるように生み出されたやり方だと思います。

さすがに作者の秋本治さんも、そこまで古い作家ではないにしろ年齢的なことも考えるとそういう「子供向けマンガ」で育った世代でもあると思います。

そういう名残りが今のこの「セリフと絵を一致させる」やり方に通じてるのではないのかな‥と思ったりします。

 

もちろん否定はしませんが、今の漫画は「いかに喋らずに読者にわからせるか」が勝負だと私は思っています。マンガは「絵」が勝負なので、できればセリフに頼らず「絵」だけで主人公の心情、やろうとしていること、あるいは今やっていることを表現してもらいたい。

 

特に若い人、これから漫画家を目指そうとしてる人にはそういう気概で臨んでもらいたいなと思っています。

 

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私が考える「こち亀」の凄さ、長寿の秘訣とは?

 

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ただもちろん、「こち亀」がすごい作品であることは疑いようのない事実です。

そこで私個人の意見として、一体「こち亀」の何がすごいのか、今の漫画に応用できるテクニックはあるのかなど自分なりに考えてみようと思います。

 

知識の豊富さ

 

まず一番に上げられるのはこれでしょうね。

連載当初、「こち亀」は主人公の「両さん」こと『両津勘吉』自身のハチャメチャぶりを笑うギャグマンガで、ある種「漫画界の寅さん」的な存在でした。昭和男の頑固さ、一途さ、破天荒さなどを当時の時代風景とともに映し出す人情ギャグマンガ。

それがいつしか、両さんの趣味の多彩さからくる「オタク」モノ、知らない業界の裏を暴く「うんちく」モノ、作者自身が新しもの好きという事もあってその時代の流行をすぐさま取り入れ、それを「昭和男」の両さんが呆れながらも結局は楽しんでしまうという「ギャップ物」など、実に多様な「知識」を漫画の中に取り入れています。

読者が「こち亀」で勉強するなんて時代にもなりました。

作者の秋本治さんもいろんなところへ取材したり、あるいはネタを提供してもらったりして貪欲にストーリーに組み込んでいます。

その時代によって「何が流行してたか」を知る、辞典的作品にさえなっています。(ポケベル、たまごっち、プリクラ、ボカロなど)

特に電子機器などで新しいものが出るとすぐさま作品に描いたりして、頑固一徹の両さんとハイテク機器という、一見相反するものを融合させることによって生まれるギャップ萌えも、この作品の魅力になっています。

 

セリフのテンポの良さ

 

しかし、そういった「知識」が豊富なマンガというのは総じて「セリフ」が多くなってしまいがちです。

特に説明が必要なものになると長々とキャラクターがしゃべったりして、読んでてうんざりすること、よくあります。

しかしこの「こち亀」は、びっくりするほどそういった「セリフの多さ」による間延びやうんざり感を感じません。なぜでしょうか。

 

それは、作品を読めばわかりますが意外と「こち亀」って、セリフがそう多くないんです。そしてテンポがいい。実は一コマの中にあるフキダシは、数にしてせいぜい一つか二つ。しかも片方は両さんのツッコミや「なるほど」といった「相槌」で、ひとつのセリフがそう「長く」ないんです。

 

マンガを読むとき、ひとつの吹き出しにあまり長々と文字が並んでるとそれだけで読者はげんなりし、最後まで読んでもらえない場合もあります。そこにしかも句読点で区切ってあったりすると余計テンポも悪くなります。

しかし「こち亀」にはそれがありません。一つの吹き出しの中にあるセリフは文字数にしてせいぜい30~40文字。しかも句読点で句切ったりせず、一気に最後まで読めてしまうものばかりです。

これが、知識だらけであっても読み疲れない、テクニックの一つだと思います。そして時には両さんお得意の「怒鳴り声」「ツッコミ」などが入って、メリハリのあるいいテンポで話が進むのです。

ただこれはその「知識」だけで話が進むからこそできる芸当かもしれません。一つのセリフは少ないけれど、説明自体は長く下手すると2,3ページ使ったりします。新人にはなかなかそれほど贅沢にページは使えませんからね(笑)。

しかしこのセリフの「テンポの良さ」は見習うところがあると思います。

コツとしては「あれもこれも」と入れ過ぎないこと。説明が必要なマンガは作者が「全部を説明したい」という欲が出てしまいどうしても長くなってしまいます。『これだけは』という「核」になる説明以外は思い切って「捨てる」という勇気も必要です。

そう。実はネームとは「いかに捨てるか」が一番難しい作業だと思います。これはもう「数」をこなして経験で身に着けるしかありません。ぜひ「こち亀」など、テンポのいい作品を読んで、「ネームを削る」勉強をこなしてほしいと思います。

 

普段はいい加減な両さんの発する「アツいセリフ」

 

主人公の「両さん」は、ふだん決して「いい人」ではありません。いやむしろハチャメチャな行動で周りに迷惑をかける「トラブルメーカー」でもあります。

しかしたまに読者がグッとくる「名言」を放ったりします。

 

人間が悩んだりするとすぐ「生きるか死ぬか」の二択になるがそうじゃない。「生きるモード」に戻って、「どう生きるか」(しぶとく生きるか未ペースに生きるか図々しく生きるか人のために生きるか)を選択すればいいんだ。

 

悪者が改心して、それを周りが褒めている様子に対して

「今まで悪かった奴が普通になったくらいで褒める必要ない。普段から頑張ってる人間の方がずっと偉い。」

 

学校でいじめられてるという少年に対して

「今に見ておれ。そう思うだけで充分だ。勉強でもなんでも頑張ってそいつらを見返してやれ!

悔しさをバネにして前進するんだ!」

 

普段いい加減な両さんのこういうセリフはグッときますよね。やはりここにも「ギャップ」的魅力が存在します。いつもいい事ばかり言っている「いい人」が言ってもあまりインパクトはありません。

こういうのって実生活でもありますよね。いかにも悪そうな見た目の人が電車の中でお年寄りに席を譲ってたりするとそれだけで無条件でその人のことを好きになってしまう。その人を見る基準値が低いほど、ちょっといいことをしただけで株が急上昇したりします。逆もまたしかりです。普段いい人だと思ってた人が少しでも冷たい態度とっただけで一気に評判悪くなったり・・人間の評価基準とはそのくらいいい加減なものです。

 

実は芸人の「ロンブー」の淳さんはこの手の人間の心理を実によくわかっていて、普段はちょっと「チャラ男」的にふるまっているけど女の子の前では実に紳士的にふるまうそうです。そのギャップで女の子はコロッといくそうで・・(笑)。モテる男は違いますね。

 

話がそれましたが、こういった「ギャップ」を上手く利用しているのもこの作品の魅力と言えると思います。

 

 

作者自身の柔軟性

 

とにかく作者の秋本さん自身、新しいものが好きなようです。

「老害についての記事」の中でも書きましたが年齢を重ねると人間はとにかく頑固になりがち。新しいものに対してはまず「否定」から入ったりします。

「老害」と言われないために!その特徴と対策を考える。
こんにちは、最近なかなか朝がスパッと起きれないOYUKIHANです。 今日は、最近の騒動から改めて見える「老害」と言われる方々の存在とその特徴、 そして自分がそうならないためにはどうすればいいかについて考えます。...

しかし秋本さんにはそういった気持ちが全くないようで、まずは新しいものは「肯定」から入ります。したがって漫画の中で両さんも「新しい流行」に対して最初は否定的な目で見てたとしても、最終的には一番楽しんでたりします。

こういった「作者自身の柔軟性」も、この作品が長続きしてきた秘訣ではないかと思います。

 

他にも「週刊連載」にもかかわらず「一話完結物」であることや「知識が豊富であるにもかかわらず画面がゴチャゴチャしてない」など、勉強になることはたくさんあります。

画面の整理の仕方についてはもうベテランならではのテクニックでしょう。

カメラ位置がほとんどバストアップで固定されていてコマ割りにも「起伏」がありません。それが視覚的な「安定感」を生んでいるため、どんなに描きこんであってもゴチャゴチャ感がないのです。

今の漫画ではなかなか難しいかもしれませんが、セリフが長くて読みにくくなりそうな時ほど、画面の安定感は必要かもしれません。

 

この辺も勉強するところはありますね。

 

 

まとめ

 

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これだけ長く続いた長寿作品にはやはり人気を保つ秘訣がたくさん隠されていると思います。

でもやはり基本的な姿勢としては

「何事にも好奇心を持ち、とことんまで興味を持って調べ、それを作品に生かす。」

これに限るのかもしれませんね。

 

 

いずれにせよ僕もこの「元週刊少年ジャンプ編集者が漫画家から学んだことを書いていく」というブログ、定期購読していこうと思います。その記事についても思いついたことがあればここで紹介していきたいです。

対抗するわけではありませんが、あちらのブログよりも「内容の濃い」記事を書いていきたいと思っておりますので私のブログの方もよろしくご愛顧のほどお願いいたします(笑)。

 

ちなみにあちらの記事、次回は

読みやすさを一瞬で上げるテクニック、「ヒロアカに学ぶ、1コマ1情報」というテーマだそうです。

ご興味ある方は読んでみてはいかがですか。

 

ではまた。

 

 

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