雇う方も大変なんです。 作家さんに聞いた「変わったアシスタント」話 その1

hen 所見

元アシスタントとして、アシスタント側からの意見はいろいろ書いてきましたが、今度は雇う側、作家さんから見たアシスタントの姿というものについて書いて見たいと思います。

 

作家もいろいろ アシスタントもいろいろ

 

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当然のことながら、一口にアシスタントといってもいろんなタイプがいます。性格も様々。明るい人、静かな人、よく喋る人、割と大雑把な人、細かい人・・。

都内出身の人もいますが、もちろん地方出身者も数多く、北海道から沖縄まで(外国人も)実にいろんな人と出会うことになります。しかしどんな仕事でもそうですが、ただの同僚というだけでなく、作家として人を雇うということはいわゆる雇用主。つまりその職場では「社長」です。

ただ普通の仕事と違うのはその「社長」自らが現場へ出て働く人なわけで、指導や教育などもしなければならない場合があります。ベテランの作家さんになると「チーフアシ」と呼ばれるベテランアシさんにお任せして、自分は作業に専念、という人もいますがまだ作家になって間もない方などは、それらをすべて自分でやらなければなりません。

作家さん自身が社交的な方ならいいですが、あまりそういうタイプでない場合や、アシスタントさんも結構特殊な方が来るのでいろいろ問題が起こったりもします。

自分の世界に浸る人

マンガ家を志望する人たちというのはどっか「オタク気質」を持った人が多いです。まあオタクといっても千差万別ですが、よく言えば「自分独自の世界」を持っているということでしょうか。もちろんそれ自体は全く問題ないんですが、漫画の作業場、他にも他人が居る部屋の中で、あまりそれを出しすぎるのもどうかと思いますね。

あるベテラン作家さんのところにやってきたYくんは、それはもう来た初日からぶっ飛んでました。

まず初日、インターホンが鳴ったので応対した作家さん。受話器の向こうから「はじめまして、堀北真希です!」という「男性」の声が。なにかのイタズラかと思った作家さんが切ろうとすると「あ、あのすいません、アシスタントに応募したYと申しますが・・」。

すでにこの時点でやばい匂いがプンプンです(笑)。

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このYくん、確かに社交的なタイプでよく喋る人なんですがあまり空気を読めるタイプじゃなく、他の人同士で話してんのにいきなり割り込んで来て、それだけならまだしも話すのは自分のことばかり。他の人の事を話す時はだいたい批判で、誰かが他の漫画家さんの話をしだすと「そうですか~いやーでも僕はですねえ・・」と聞いてもいないのに批判のオンパレード。

とにかく「自分は・・自分は・・」と始まるんです。まあこの業界、我の強い人が多いことは確かですがそれにしてもひどかったと。挙句に「偉人マニア」なのか、仕事場で流していたテレビで「坂本龍馬」が出てこようもんなら「あっ、僕がこの世で一番尊敬してる人!」と言い出し椅子から立ち上がり画面に向かって「黙想」状態。(この世って・・もう竜馬はこの世の人じゃないんだけど)

当然仕事の手は止まります。作家さんが何度注意してもその時は収まりますが直ぐに忘れる。他の偉人が出てきても似たような感じ。それでも、持ってるスキルが許せる範囲ならまだ良かったんでしょうが、実際は素人さんに毛が生えたレベル。まだ若かったのでそれからどうなるかはわかりませんが・・。

もちろんこれだけじゃなくいろいろ問題もあったらしく、結果Yくんはその仕事場は「クビ」になったそうで・・。まあ「クビ」に関しては私も人のことは言えないのですがその私が聞いても「仕方ない」と思える人だったと思います。

ただその後しばらくしてその作家さんの知り合いの方から連絡が。

「うちの仕事場に変なアシスタントが来てな~。呼び鈴押すから出てみたらいきなりドア越しに「こんにちは、長澤まさみです!」だってよ。」

 

・・元気そうで何よりです。

ただ、その後Yくんがどうなったかは知りません(笑)。

まだありますが、長くなるので次に続きます。

 

 

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