マンガ業界裏話 編集さんにもいろんな人がいるって話のpart 2。

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変わった編集さんについては以前も書いたと思いますが、今日は私が逢ったちょっと、「嫌な編集」さんのお話。

と言っても私の担当でなく、お世話になった作家さんのところで出会った女性の編集さん。そして、何が嫌かというと別に厳しいとかそんなんではなくて・・何と言いますかね・・まあ、聞いてもらいましょう。

ちなみにpart1の記事はこちら。

編集さんも普通の人間・・だからこそいろんな人がいる。私が会った変わった編集さんたち

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最初は普通の印象だった女性編集Sさん。しかし実体は…。

ある作家「Tさん」のもとへ新しく担当に配属されてやってきた女性編集「S」さん。30手前くらいの、ある「売れっ子作家」さんの奥様です。こういう、作家と編集の夫婦って結構多いです。まあ、どうしても一緒にいる時間も多いので確率的に多くなるんでしょうね。

初めての仕事場詣で。  しかもその作家さんが最近引っ越したばかりで住所がうまく伝達されてなかったのか、Sさん初日から約束の時間に遅刻。仕事場に何度も電話がかかってきて、そのたびに平謝りしているよう。それから30分ほど遅れてやってきたSさんは、よほど焦ったのか髪はボサボサ、汗だくだく、仕事場に入ってきた瞬間からもうTさんの前で「土下座」でもせんばかりに何度も何度も謝っていました。

その低姿勢、割りと天然な感じ、そして何と言っても美人!なSさんに、最初は少なからず好感を持っていました。最初は(笑)。その日は顔見せというか挨拶がわりのようなもので、いったんS さんは帰りました。

後日、SさんとTさんの初ネーム打ち合わせが近くのファミレスで行われることになり、そこに私ともう一人のアシスタントが同席することになりました。ただ同じ時間で始めるのでなく、ある程度二人で話し合って大枠が決まったら電話で呼ぶから来てほしい、とのこと。

Tさんは自分だけでアイディアを決めるのでなくできるだけ多くの人の意見を取り入れたい人。その時私はTさんの「ブレーン」とまでいかないものの話づくりに割りと多く関わっていました。

Tさんにも結構信頼され、その時は何の気なしに打ち合わせに参加OKしたのですが・・その時はまさかあんなことになろうとは…。

挨拶でわかってしまったSさんの心理(笑)

しばらくして仕事場に電話がかかり、呼び出しを受けた私ともう一人のアシが歩いて10分ほどのファミレスに着くと、何やら煮詰まった表情でメモを取るSさんと、その横で苦笑いを浮かべるT さんがいました。

席に着く前にTさんが我々のことをSさんに紹介してくれます。その流れで我々も、何度か見かけてはいるが話すのは初めてのSさんに「はじめまして○○です。よろしくお願いします。」とごく普通の挨拶。

・・・しかしSさんはその声が聞こえないのか、ノートのメモ書きを書いては消し、首をかしげてはまた書く、といった行動をとり続け一切の返事はなし。

聞こえなかったのかともう一度挨拶しようと思った矢先、

Sさん「わかった!先生、これでいいんじゃないでしょうか!どうですか?」と大きな声でTさんにメモを見せながら相談。

Tさん「ああ‥それでいいんじゃないかな」と真剣に考えてないような返事。とまたSさんはノートに目をやり、何やら一生懸命書いていました。

どうやら話を聞くと、次の章から全く新しい展開で始めようとしてるようで、ちょっとした「謎解き」をテーマの一つに入れようとしてるのだそうです。このSさん、それならとばかりに自分で考えたアイディアをTさんに自信たっぷりに見せてきたそう。しかしそのSさんの出したアイディアというのが設定があまりにもわかりにくく、しかもいろんなところに不備があるらしくそのことをTさんに指摘されまくり。

でもそのアイディアを諦めきれないSさんが何とか取り繕おうと必死でアイディアの作り直しを現場でしてるのだとか。

ちょっとあきれ気味のTさんが改めて我々をSさんに紹介します。

「Sさん、彼らがうちのスタッフ。○○君と××君。」

改めて我々もあいさつ。ところが・・

Sさん、我々の方をちらっと見ただけ、無言のまま首をちょこんと前に出し、視線はまたノートの方へ。

我々(ええええ?今のがあいさつ?)

結局しっかりとした挨拶もないまま我々も席に着き、打ち合わせ再開。

と、Sさん途端に顔を上げ、大きな声で「ああ~んもう、わかんなああい、先生~、これどうしたらいいと思いますうう?」と上目遣いで甘えるような態度。

我々(????)

Tさん「とにかくあまり複雑にしようとしないで、もっとシンプルな方がいいんじゃないかな、余計な設定がありすぎだと思うよ。

Sさん「だああってええ、私難しくってわかんないですもん、先生みたいに頭良くないしいい」

我々(????????)

業を煮やしたTさんが「じゃあ、そのアイディアを○○君と××君にも見てもらって意見を聞こうよ。他の人の意見も聞いた方がいいからね。○○君、Sさんの話聞いてやって。遠慮なく意見言っていいからね」

私「あ、はい。」

身を乗り出し、話に参加しようとした私に対し、ここでまたSさんの態度がガラリと変わります。

Sさん「…ああ…わかりました。」

私(なんだなんだその、いかにも嫌そうな、わずらわしそうな返事は!)

心の中でそう思いながらも一応きちんと聞こうとSさんの話に耳を傾けます。

ところがそのSさんの話の仕方が‥。さっきまでの上目遣いの甘えたような声はどこ行った??ってくらいの、やたら高飛車な上から目線の説明。

Sさん「だからこれがね、こうくる。わかるよね、そしたらこうなるに決まってるでしょ。だからこうなんの。わかった?わかったよね?」

私(イヤ全然・・)

途中でもう一人の××君が質問をします。それに対しては

Sさん「なにいってんの?違うよバカだね。ここはこうでしょ。こうに決まってるじゃない。何考えてんの?」

我々(??????????????????????)

ほんの少し説明しただけで、Sさんの態度に明らかな「イラつき」が見えます。それはもうどんなバカでもわかるくらい。(なんでお前らなんかに説明しなきゃなんねえんだよ)と心の中で間違いなく思ってるだろうことが、容易に想像できました。

確かに我々はSさんよりも年下でしたが、初めて会ったばかりでそんな見下したような態度いきなり取れるもんかねと感心してしまうほど、Tさんに対しての態度と我々に対する態度は180度どころか、二週廻って540度くらい違っていました。

そしてまたTさんの方に向き直ると「ねえせんせえい、これじゃあだめですかああ?私一生懸命考えてきたんですうう」

と上目遣いの甘え声。

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月とスッポン 太陽とミジンコ 地球とゾウリムシ これは何?答えは‥

私も、何年もこの業界にいるとだんだんわかってきます。

作家とアシスタントの「地位」の違い。

まあ当然と言えば当然です。作家 それも「売れっ子作家」となれば編集さんにとっては、「利益を生み出すのニワトリ様」です。チヤホヤするのは当然。

アシスタントなどはその点何も生み出さないのですから、態度が変わって当たり前なのかもしれません。

「マンガ業界で、まともな人間扱いされたかったら売れろ」

ある有名作家さんの言葉。つまりは売れない作家、ましてやアシスタントなど編集にとっては人間ですらない、というのがこの世界の厳しい現実です。

もちろん私もそれは理解してるつもりでした。ただ、このSさんという編集さん、その意味でも「天然」というか、態度の違いがあまりにも「あからさま」だったので、我々も正直「面食らった」のは事実です。

売れてる作家Tさんにはとにかく上目遣いの猫なで声、Tさんがちょっと何かアイディアでも出そうもんなら

「すばらしい・・・さああっすがですねええ先生!そんなとこに目が行くなんて・・ホント凄いと思いますううう」

我々がアイディア出しても

「は?何言ってんの。そんなのウケるわけないでしょ。全然わかってないねバカじゃないの。」

TさんがSさんのアイディアの不備を指摘すると

「いやあああん先生、おっしゃるとおおりいい。私ってバカですね。ホント先生の着眼点、素晴らしすぎます!」

我々がSさんのアイディアでパクリに近いものを見つけて指摘すると

「何言ってんの??いいものを継承するんだから悪いわけないじゃない!余計なこと言わないで!何にもわかってないくせに!」

いやもう、ちょっと笑ってしまうほどの豹変ぶり。江戸時代の太鼓持ちかと(笑)

ただそういう編集さん、作家さんからのウケはどうなんだといえば・・それがあまりよくないのだそう。

そりゃそうです。チヤホヤされること自体気分は悪くはないですが、あまりにもそればかりだと編集としても信頼されないのです。本当に力のある「真剣に漫画に取り組んでる作家さん」は、あまりこういう編集さんを良しとしません。

むしろそういう作家さんほど、真剣に「マンガ論」を語り合いたいと思ってる。議論が白熱してケンカになったとしてもいい。そういう「気骨ある」編集さんの方が作家さんからは逆に信頼されます。

このSさん自身特に漫画が好きというわけでもないらしく、たまたま配属されたのが漫画編集だったという人でそこまで漫画に愛情や愛着を持っていません。そういうところもちょくちょく見えてしまうらしいのです。そのあと二人だけで打ち合わせをしていても「頓珍漢な回答」ばかりするSさんに対しての愚痴を、疲れ果てて仕事場へ帰ってくるTさんから聞かされる、という日々がしばらく続きました。

しばらくしてSさんはまた違う部署へ異動になりました。

Tさんが何か働きかけたのかどうか・・それはわかりません。でもちょくちょくそのあともTさんのもとへSさんから連絡は来るそうでした。

大体がその新しい職場への不満、だそうですが‥。

あれから一切会ってませんが元気でいるのでしょうか(笑)。

以上、私が会った編集さんの中でもちょっと変わった というか 「わかりやすい」編集さんのお話でした。ただまあ、このSさんがあまりにわかりやすいというだけで元来編集さんとはこういうものだと思います。確かに嫌な思いをしましたが、この業界「売れなければカス」というのはシビアな現実としてあります。

こういう態度をされるのが嫌なら「売れる」しかありません。私は残念ながら叶いませんでしたが、皆さん頑張って「チヤホヤされる存在」になりましょう!違うか(笑)。

でもたまにはそういう「生々しい野心」というのも必要じゃないかなと思う、今日この頃です。

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